JR仙山線:冷え込む列車内に8時間「何とか耐えた」

毎日新聞 2014年12月03日 20時37分(最終更新 12月04日 00時04分)

約8時間閉じ込められていた列車から降りる乗客ら=山形市山寺のJR山寺駅で2014年12月3日午後4時、山中宏之撮影
約8時間閉じ込められていた列車から降りる乗客ら=山形市山寺のJR山寺駅で2014年12月3日午後4時、山中宏之撮影
JR仙山線とその沿線
JR仙山線とその沿線

 山形市のJR仙山線・山寺駅−面白山高原駅間で3日午前7時40分ごろから、雪で倒れた木が架線に触れて停電して立ち往生した山形駅発仙台行き列車(6両編成)は同日午後3時35分ごろ、運転を再開した。学生を中心とする乗客約300人は約8時間、車内に閉じ込められ、停電で車内の暖房も切れたが、JR東日本山形支店によると、けが人や体調不良を訴える人はいなかった。

 停車地点は山寺駅から約4キロの山間部。近くに道路がないためバスなどで乗客を輸送できなかった。盆地にある山形市の中心地はこの朝の最低気温は0.5度、日中でも3.2度までしか上がらず、山間部の現地はさらに寒かったとみられる。冷え込む車内で再開を待ち続ける乗客に午前10時20分ごろ、JR東日本がディーゼル除雪作業車で簡易カイロや保温シート、おにぎりやパンなどを届けた。

 2両ごとに一つあるトイレも電気式で使用できなくなり、携帯トイレを配布した。カイロなどは備蓄がなかったため、山形市周辺で買い集めたという。

 運転を再開した列車が午後4時ごろ、山寺駅に到着すると、乗客たちは疲労をにじませながらもホッとした表情を見せて降車した。

 山形市山寺の専門学校生、三浦拳貴(げんき)さん(19)は「暖房が切れたため寒かったが、防寒具や食料が届き、何とか耐えられた」と話した。山形県東根市泉郷の専門学校生、深瀬巧太さん(18)によると、停車中の車内では、誰も騒ぐことなく、落ち着いていたという。

 JR東日本の松木茂・仙台支社長は3日、山形市内のホテルで開かれた別の記者会見の席で「寒い車内で長時間、辛抱いただいた。おわび申し上げたい。今後、状況の分析と対策をしっかり検討したい」と陳謝した。【山中宏之、光田宗義】

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