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シリーズ◎見直してみませんか? NAFLD/NASHのスクリーニング(その1)
医師なら必ずNAFLDに遭遇する…では見逃さないコツは?

 非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)は患者数の増加が指摘され、「NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)」では、日本における有病率は検診受診者を対象とした研究において29.7~32.2%とされている(別掲記事参照)。
※NAFLD/NASH診療ガイドライン2020:パブリックコメント募集のために公開されている草案。

 診療ガイドライン2020の作成にも携わる医療法人ロコメディカル・ロコメディカル総合研究所所長(佐賀県小城市)の江口有一郎氏は、生活習慣病を診る機会のある医師は100%、NAFLD/NASH患者に遭遇しているはずだと話す。「当院は98床のケアミックス病院で、私を含め肝臓専門医が多いが、レセコンデータから調べた800人の糖尿病患者のうち、500人が1年以内に腹部超音波検査を受けていないという衝撃の事実が判明した。そこで、生活習慣病患者に対して1年に1回は腹部超音波検査を受けるように啓発するキャンペーンを打ち出し、検査へとつなげたところ、大体6割ほどの患者でNAFLDが見つかった。そのうち3分の1はNASHで、肝硬変に至っている例も数人いた」という。

 NAFLD/NASHは積極的に疑ってスクリーニングをしないと、気付かれずに進行してしまうケースがある。そのため、肝硬変・肝癌へと至る前に早期に見つけ出し、治療へとつなげることが不可欠だ。潜在患者数の多さを考えると肝臓専門医だけで診療していくことは不可能と言われており、非専門医がNAFLD/NASH診療に関わっていくことが欠かせない。非専門医でも無理なくNAFLD/NASH患者をすくい上げるにはどんな点に注意すべきなのだろうか。


連載の紹介

シリーズ◎NAFLD/NASH診療最前線
診療ガイドラインの改訂が進み、新たな診断法・治療薬の開発が進行中のNAFLD/NASH。非専門医の積極的な参与が求められる中、非専門医によるフォロー方法、専門医へ紹介する基準から診断・治療に関する最新情報まで幅広くお届けします。

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