運転手、事故直前の眠気を否定 関越道バス事故初公判
群馬県藤岡市の関越自動車道で乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負ったツアーバス事故で、自動車運転過失致死傷などの罪に問われた運転手の河野化山被告(45)の初公判が23日、前橋地裁(高山光明裁判長)で開かれた。河野被告は「運転中に眠気を感じたことはないが、睡眠を十分に取っておらず、バスを運転すべきでなかった」と述べ、「心からおわびします」と謝罪した。
河野被告は事故の20分前に眠気を覚えたのに運転を中止しなかったとして起訴された。弁護側は睡眠不足の状態で運転した過失は認めたが、事故直前の眠気を否定し、起訴内容の一部について争う姿勢を示した。
河野被告は、鑑定留置で睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されており、SASの影響で突然眠りに陥ったかどうかが争点となる。
冒頭陳述で検察側は「被告は逮捕直後に眠気を感じながら運転していた、と供述していた。突然意識を失ったと主張するのは不自然だ」と指摘した。弁護側は「眠気などの予兆はなかった」と反論し、「ガードレールが基準通りに設置されていれば、重大な結果にはならなかった」とも主張した。
事故は昨年4月29日午前4時40分ごろ、関越道藤岡ジャンクション付近で発生、バスが防音壁にぶつかり大破した。起訴状によると、河野被告はこの20分前に眠気を覚えたのに運転を中止せず、居眠りしたまま約500メートル走行したとしている。
運行したバス会社「陸援隊」(千葉県印西市)は国の事業許可を取り消された。針生裕美秀社長(56)は、道路運送法違反(名義貸し)などの罪で起訴され、執行猶予付き有罪判決が確定した。
事故をきっかけに安全上の問題が浮上。国土交通省は、夜間運行の高速バス運転手が1日に運転できる距離を原則400キロに制限。旅行会社が貸し切りバス会社に委託して運行する形のツアーバスは7月末に廃止され、高速バスは停留所設置が必要な乗り合いバスに一本化される。〔共同〕