聖トマス大学(兵庫県尼崎市)が、2015年度の新設を目指していた看護学部(仮称)の設立を断念したことが19日、大学関係者などへの取材で分かった。今年3月、人間文化共生学部の最後の学生1人が卒業し、在学生はゼロになっており、大学の存続は極めて厳しい状況となった。(吹田 仲)
同大学は1963年に英知大学として開学。07年5月に現校名に改称した。少子化などで定員割れが続き、10年度から新入生の募集を停止。12年度から2学部新設を計画したが、11年8月、申請書類の不正などで、文部科学省から認可しない処分を受けている。
その後「近隣高校生への調査などから、ニーズがある」と、定員100人の看護学部の設置方針を表明。今年2月には周辺施設などに、同学部が設立された場合の研修受け入れなどについて協力を要請していた。
しかし、わずか2カ月後の4月、一部の周辺施設に断念の意向を伝えるとともに、新学部設立に携わってきた職員らを中心に、4月末で希望退職を募るなど、人員整理を始めたという。
同大学では、新学部設置や赤字解消の財源として、11年に敷地の4分の1にあたる約1万平方メートルを、13年には約6千平方メートルを売却している。断念の理由について、同大学の広報担当者は「現時点では取材には応じられない。大学の今後については、まだ何も決まっていない」としている。
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