広島市中心部を走る路面電車

 国土交通省は18日、広島市中心部の路面電車と路線バスの運賃を220円均一にする広島電鉄(広島市中区)など地元交通事業者7社の計画を認可した。11月1日から新運賃に切り替わり、路面電車の市内線は30円上がる。新型コロナウイルス禍によるテレワークの普及などで乗客が減り、各社の収益が悪化したことが大きな引き金となった。

 均一運賃の対象エリアは中、東、南、西区の一部でバスは63路線、路面電車は7路線。路面電車190円、バス170~270円の現行運賃がいずれも220円になる。カード型IC乗車券PASPY(パスピー)を利用した場合は20円割り引きの200円とする。

 広電は併せて、路面電車の白島線を30円値上げして160円とする。市内線につながる宮島線の190円と200円の区間は220円とし、230~270円の区間は据え置く。広電の値上げは、消費税増税で10円値上げの190円とした2019年10月以来。

 他の事業者は、広島バス(中区)▽中国ジェイアールバス(南区)▽広島交通(西区)エイチ・ディー西広島(同)▽備北交通(庄原市)▽芸陽バス(東広島市)。新型コロナ禍での収益悪化を受け、料金改定を含む共同経営計画を9月、国交省に申請していた。

 横並びの値上げが認可されたのは、独占禁止法の適用を除外する特例法が20年に施行されたことも背景にある。国交省は「事業改善によって経営基盤の強化が期待される」としている。

 7社は料金改定に合わせて共通定期券「広島シティパス」に学生や高齢者向けの割引を設け、一定時間が定額乗り放題となる「デジタルシティパス」も新設する。広電は「サービス充実を図り、利用者が使いやすい公共交通を目指す」としている。(口元惇矢、小川満久)

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