愛知高速交通、社員が8900万円横領か
東部丘陵線「リニモ」を運営する第三セクター「愛知高速交通」(愛知県長久手町)は7日、出納責任者として名古屋鉄道から出向中の男性社員(45)が約8916万円を横領した疑いがあるとして、県警愛知署に被害を届け出たと発表した。男性社員は横領を認めており、全額を馬券の購入に充てたという。愛知高速交通は近く損害賠償請求するとともに、業務上横領容疑での告訴も検討している。
愛知高速交通には出向社員の処分規定はない。男性社員は8日付で名鉄に戻る。名鉄は「事実関係を確認のうえ、厳正な処分を検討する」(広報宣伝部)としている。
愛知高速交通によると、男性社員は2005年6月に名鉄から愛知高速交通に、出納責任者である総務部総務課主幹として出向した。管理している預金通帳と銀行印を使い、09年4月3日から今年4月30日までの約1年の間、計55回にわたり、リニモの運賃収入などを管理する2つの銀行口座から計約8916万円を引き出した。
上司である総務部長が月1回、預金通帳の出入金状況をチェックする決まりだったが、男性社員に任せてチェックを怠っていた。
09年11月の09年度中間期の会計監査では問題は発覚しなかったが、今年4月28日の09年度通期の会計監査で「約6300万円分の支出の内容が不明瞭(めいりょう)」との指摘を受けた。その後の社内調査と男性社員からの聞き取りで、10年度分と合わせて8000万円を超える着服が判明した。
愛知高速交通は「第三セクターなので専門分野の運営は(県や名鉄などの)各参加主体にお願いせざるを得ない状況にある」と説明しているが、今後は銀行印を総務部長が管理するなど再発防止に努めるとしている。
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