奈半利町ふるさと納税めぐる汚職事件 元課長補佐らに実刑判決

奈半利町のふるさと納税をめぐる汚職事件で、高知地方裁判所は、受託収賄などの罪に問われた町の元課長補佐に懲役4年6か月の実刑を言い渡しました。

奈半利町のふるさと納税事業を担当していた元課長補佐の柏木雄太被告(44)と元課長の森岡克博被告(48)は、返礼品を扱う業者から便宜を図った見返りに現金を受け取ったなどとして受託収賄や収賄などの罪に問われました。

これまでの裁判で、2人は水産会社から現金およそ180万円を受け取ったとされる受託収賄の罪について「元課長の息子などがこの会社で働いた報酬だと思い、賄賂とは認識していなかった」などと否認していました。

21日の判決で、高知地方裁判所の※吉井広幸裁判長は、「元課長補佐は、賄賂の認識があったが、元課長にはその認識が認められず、元課長補佐については、受託収賄の罪ではなく、業者から元課長に現金を振り込ませた第三者供賄の罪にあたる」と指摘しました。

その上で、元課長補佐に対して「業者への強い影響力を使って自身に近い人物に莫大な利益が流れる仕組みを作り上げた事件の首謀者として最も重い責任を負うべき立場にある」と述べ、懲役7年の求刑に対し、懲役4年6か月の実刑と追徴金の支払いを言い渡しました。

一方、元課長については、「検察の証拠は間接的な事実にとどまり、賄賂の認識があったと言うには合理的な疑いが残る」と述べ、受託収賄の罪については無罪とする一方で、水産会社で働いていた息子の住民票を不正に移した電磁的公正証書原本不実記録などの罪で懲役1年の実刑を言い渡しました。

※吉井裁判長の「吉」は、「土」の下に「口」