中国、全人代の延期を正式決定 開幕時期は決まらず
【北京=羽田野主】中国共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部は24日、全国人民代表大会(中国の国会に相当)の常務委員会で、3月5日に開幕する予定だった全人代の延期を正式に決めた。新型コロナウイルスによる肺炎の収束が見通せず、新たな開幕日も示せなかった。全人代の先延ばしは極めて異例。習氏の4月の国賓訪日にも影響する可能性がある。
全人代とあわせて3月3日に開幕する予定だった国政助言機関である全国政治協商会議(政協)も先延ばしする。全人代と政協は「両会」と呼ばれる。とくに全人代は1年間の中国の基本政策などを決める最も重要な政治日程のひとつ。
1998年以降は全人代は3月5日、政協は3月3日の開幕が慣例となっていたが、今年は崩れることになる。
中国本土で新型肺炎は依然として猛威を振るっている。24日時点で死者は2592人。2002~03年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の世界全体の死者数774人をはるかに上回っている。
両会の開幕中は全人代代表と政協委員ら約5000人が北京の人民大会堂に集まる。秘書らも含めると数万人に及ぶ。中国の指導者が新型肺炎に集団感染する事態を懸念したようだ。地方の指導者を北京に集めると、地方の防疫対策がおろそかになるとの指摘もあった。
全人代議事規則には毎年第1四半期での開催を定めており、党内には3月下旬の開催を求める声も一部にあった。だが新型肺炎の患者と死者は増え続けており、封じ込めの時期を見通すのは難しいと判断し、開幕日を示さないことになったとみられる。
全人代は首相が政府活動報告でその年の経済成長率目標を説明する。年に1度の記者会見を開き、経済政策運営などの質問に答える。国の予算案も全人代で承認する。
最高指導部は3月下旬に全人代が終わると外遊を始める。全人代は中国が一斉に動き出す「起動ボタン」の役割を果たしてきた。先延ばしになったことで、内政・外交ともにあらゆる政策が滞るのは避けられない。
24日の全人代常務委員会では新型コロナウイルスが広まるきっかけになったとされる野生動物の違法取引禁止や野生動物を食べる習慣の排除なども決めた。
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