ひきこもりなどの課題を抱える女性のためのシェアハウスが京都市左京区にある。ひきこもりの状態が改善傾向となりながらも、一足飛びに社会参加へ進むハードルは高い。まず一歩を踏み出して、コミュニケーションをとることに徐々に慣れる「場」をめざしており、入居する人を募っている。

 シェアハウス「さくら荘」は3年前にオープンした。有料老人ホーム「北白川の花の家」に隣接し、「日本いのちの花協会」が、ホームとともに運営している。

 協会代表の宮田さよ子さん(74)は、ひきこもりだった人たちをホームの職員として採用し、長く働いてもらった経験がある。「自立に向けたステップアップのひとつの足がかり」にしてもらおうと、男性よりも困難な状況に置かれがちな女性を対象にしたシェアハウスを始めることにした。

 開設後しばらくして2人が利用したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で入居の呼びかけを控えめにしたため、利用者は今はいない。最近、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類になって日常が戻りつつあることから、改めて利用を呼びかけ始めた。

 ひきこもりの人への支援は、本人や家族が安心して出かけられ、受け入れられる「居場所づくり」や就労に関するものが一般的だ。様々な他の入居者と生活を共にするシェアハウスについて、宮田さんは「緩やかに関わり合いながら生活する中で、元気に暮らせるようになる人が増えて欲しい」と考えている。一人での生活が心細い高齢者、事情があって自宅では生活しづらい人、留学生なども対象にしている。

 女性専用で3階建ての2、3階に個室が計8室あり、キッチンやトイレ、浴室は共用。入居条件は、共同生活が可能な20~80歳の女性で、料金は光熱費込みで月5万6千円。保証人が必要で、入居の可否は面談で決める。問い合わせは同協会(075・723・2909)へ。

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 京都府は2017年4月、脱ひきこもり支援センター(京都市東山区)を設置した。同年の実態調査では府内に少なくとも約1100人がひきこもり状態にあることを確認した。センターでは本人や家族からの電話相談や来所相談を受け付けている。京都市もひきこもりの人のための、支援の相談窓口を設けている。

 府家庭支援課の木村佳美参事によると、コロナ禍のストレスや外出自粛などで、ひきこもり状態にある人は増えているとみられるという。そこで昨年度から「オンライン居場所」をスタート。本名や顔を出さず、アバター(分身)やチャット機能を使ってクイズやゲームで交流したり、フリートーク、学習支援などを行ったりする。参加無料で週2回ほど実施している。木村参事は「対面でのコミュニケーションや外出が難しい人も、気軽に参加してほしい」と話している。(北村有樹子)

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