カナダ、娯楽目的の大麻使用を合法化へ
カナダ議会は19日、全国で娯楽目的の大麻使用を認める法案を可決した。
大麻の合法化法案は19日、賛成52反対29の投票結果を得てカナダ議会上院を通過し、合法化に向けた最後のハードルを越えた。法案は大麻の栽培、流通、販売に関する規定。
早ければ9月にも、カナダ人は大麻の合法的購入と使用が可能になる。
同国は主要7カ国(G7)で初めて、娯楽目的の大麻使用を合法化する国となる。
カナダでの大麻所持は1923年に違法となったが、医療目的での大麻使用は2001年に合法化された。
法案は今週中にも、発効に必要な英国王裁可を受ける予定。カナダ政府はその後、法施行の公式な日程を決める。
カナダのジャスティン・トルドー首相は19日夜、「子供たちが大麻を手に入れたり、犯罪者が大麻で利益を手にしたりするのが簡単すぎる状態だ。今日、我々はそれを変える。大麻を合法化し規制する我々の法案がついさっき、上院を通過した。公約は守られた」とツイートした。
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しかし複数の団体が、野党・保守党の政治家や先住民族団体と共に懸念の声を挙げ、新法案に反対している。
カナダ政府は各州や準州、地方自治体に対し、新たな大麻市場を整備するために8週間から12週間の準備期間を設ける予定。
産業関係者や警察も、この期間に新たな法的枠組みへの準備をすることになる。
2015年の調査では、カナダ人は大麻に約60億カナダドル(約4975億円)を費やしていると試算された。この市場規模は同国のワイン市場と同規模。
カナダでの大麻合法化はこれからどう進むのか
カナダ人は様々な小売店舗で、認可を受けた生産者が育てた大麻と大麻油を購入できるようになる。
国内のカナダ人は、連邦政府の認可を受けた生産者からインターネット上で大麻を注文することもできるようになる。
成人は公共の場で最大30グラム(1オンス)の乾燥大麻を所有することも合法となる。
食用大麻や大麻を利用した食品は、すぐには購入可能にならないが、法案が発効して1年以内には可能になる予定。法案発効から遅延するのは、政府が製品ごとに個別の規則を設定する期間を設けるためだ。
大麻の購入と使用が合法になる年齢は、連邦法の法案では18歳に定められた。ただ、いくつかの州は合法的な大麻購入と使用の可能年齢を19歳とした。
各州は、大麻の販売方法を定める権限を持つほか、たとえば使用可能地域など、法定範囲内で他の様々な制限を設定する権利も持つ。
しかしカナダの連邦政府は、ブランド表記をほとんど認めず、健康被害への厳しい警告を載せることを定める、標準的なパッケージに関するガイドラインを制定した。また、若者をターゲットにした広告、資金援助を伴う広告、著名人や有名キャラクター、動物などの広告への描写に対する規制もかけられた。
違法なままになる事柄
30グラムより多くの大麻の所持、1家族につき苗木4つより多くの大麻の栽培、認可を受けていない業者からの大麻購入は、どれも違法となる。
罰は厳しいものになる。未成年に大麻を販売した者は、最大14年の禁錮刑を科される可能性がある。
何人かの批判者は、罰が厳しすぎ、未成年への酒類の販売など、同様の法律につりあっていないと指摘している。
反対者は
新法案は、全員から称賛されているわけではない。
保守党のアンドリュー・シーア党首は、法案が大麻を入手しやすくし、大麻使用を一般化するかもしれないと危惧していると述べた。
ケベック州選出のレオ・フーサコス上院議員(保守党)は「この法案が間違いであってほしい。私はこの法案がカナダの次世代にとって破滅的なものになると思う」とツイートした。
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指摘される懸念の一つは、大麻所持と使用が合法化される年齢が、政府の作業部会が推奨していた25歳ではなく18歳となったことだ。反対者は、法案が国民の健康に影響を与える可能性についても疑問視している。
一方、先住民の関連団体や政治家は、合法化に関する投票の過程で、先住民社会が十分に相談を受けなかったと表明している。
ジェイン・フィルポット先住民担当相とジネット・プチパ・テイラー保健相は6月初旬、立法過程の遅延をわずかなものにするため、カナダ上院の先住民族委員会委員長と副委員長に、先住民の懸念を伝える詳細な報告書を作成すると約束する書簡を書かなければならなかった。
カナダが合法化に踏み切った理由
この法案は2015年、当時自由党の党首だったトルドー氏が選挙戦で掲げた公約を実現するものだ。
トルドー首相は、違法であるにも関わらずカナダ人は世界で最も大麻使用の多い国民だとして、100年近く続いた大麻使用を違法とする法律の無効化を主張している。
世論調査では何度も、大多数のカナダ人が大麻合法化に賛成だとの結果が出ている。
カナダにおける娯楽目的での大麻使用の合法化という決定は、広く使われている大麻の違法状態を変更するという世界的な傾向を受けてなされた。
ウルグアイは2013年12月、大麻の生産と販売を完全に合法化した最初の国となった。
コロラド州やカリフォルニア州など米国の複数の州も、ここ数年で娯楽目的の大麻使用を合法化している。