倍賞千恵子 私の履歴書(18)健さん
女優
ヤクザ映画なんて怖いし、あまり見たことがなかった。
高倉健さん――。
初めて共演することになったのは1977年公開の「幸福の黄色いハンカチ」。記者会見の前にお茶を飲みながらお会いした時のことをはっきり覚えている。
「怖い人かな?」
勝手にイメージを膨らませて不安だったが、それほど言葉を交わさなくても真面目で誠実な人だということがすぐに分かった。
(眼力が強い。格好いい。スターのオーラもある。それ...
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女優の倍賞千恵子さんは東京の下町で生まれ育ち、のど自慢出場を機にみすず児童合唱団、松竹音楽舞踊学校、松竹歌劇団(SKD)へと進み、歌やダンスの技を磨きます。松竹にスカウトされ、1961年に銀幕デビュー。持ち前の明るさと親しみやすさから庶民派女優として国民的スターに飛躍しました。「下町の太陽」「さよならはダンスの後に」などヒット曲を歌いつつ、女優として「男はつらいよ」シリーズや「家族」など人気映画にも出演。「幸福の黄色いハンカチ」「遙かなる山の呼び声」などで名優、高倉健さんと共演しました。芸能界の第一線でスポットライトを浴び続けた倍賞さんの女優、歌手、そして人間としての半生記です。