(きさらぎ賞、2024年2月4日 15:35、GIII、京都11R、芝・右外1800m)
1番人気でレネ・ピーヒュレク(36)=独=騎乗のビザンチンドリームが直線で外から鋭く伸び、ハナ差の大接戦を制して1分46秒8のレースレコードで重賞初制覇を飾った。管理する坂口智康調教師(42)=栗=もJRAの平地重賞初勝利となった。2着は10番人気ウォーターリヒト、さらにハナ差の3着には8番人気シヴァースが入った。
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直線を向いたときは、まだ最後方の一角。しかし、ピーヒュレク騎手のGOサインに応えて、ビザンチンドリームはグングン伸びた。内のウォーターリヒト、シヴァースと鼻面を並べてゴールイン。インタビュースペースに現れた鞍上は「アリガトウゴザイマス」と日本語であいさつし、ホッとした表情をみせた。
「実は負けたと思っていました。ちょっと(ゴールに着くのが)遅かったかなと思ったので。勝つことができたのは、関係者の皆さまのおかげ。本当にうれしいです」
ゲートをもっさりと出て、早々に馬群から離れたピエナオルフェを除けば〝最後方〟に。だが、「素晴らしい末脚を持っているとわかっていたので、それを信じて乗りました」。直線に入ってスパートを開始すると、一完歩ごとに前との差を詰めていく。ラスト1ハロンはスピードに乗って、先に抜け出した2、3着馬をギリギリでとらえた。
勝ち時計1分46秒8は2016年にサトノダイヤモンドが記録したタイムを0秒1更新するレースレコード。キャリア2戦目での勝利は、18年サトノフェイバー以来2頭目となる最少記録だ。開業6年目の坂口調教師は19年にJpnⅢかきつばた記念(ゴールドクイーン)、22年に阪神スプリングJ(エイシンクリック)を制しているが、JRA平地重賞はこれが初めて。「うれしいです」と喜びをかみしめ、高い素質を改めて証明した愛馬について「まだ心身ともに幼いし、ゲートもあんな感じ。(それでも)根性も闘争心もありますね」とたたえた。
こちらもJRA重賞初Vとなったジョッキーも「本当にいい馬です」とニッコリ。今後は放牧に出る予定で次走は未定だが、過去にスペシャルウィークやネオユニヴァースなどの日本ダービー馬を輩出したレースを制し、胸を張ってクラシックへとはばたく。(北池良輔)
■レネ・ピーヒュレク(Rene Piechulek)1987年4月24日生まれ、36歳。ドイツ出身。2004年に母国で騎手免許を取得。21年にトルカータータッソで凱旋門賞を初制覇。23年にファンタスティックムーンで独ダービーを初勝利。ジャパンCに参戦したアイヴァンホウ(14年)、イトウ(15年)の調教担当として来日したことがあり、24年に短期免許を初取得。4日現在、JRA通算66戦3勝(うち重賞1勝)。169センチ、54キロ。
■ビザンチンドリーム 父エピファネイア、母ジャポニカーラ、母の父ジャングルポケット。栗毛の牡3歳。栗東・坂口智康厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は吉田和美氏。戦績2戦2勝。獲得賞金4862万円。重賞は初勝利。きさらぎ賞はレネ・ピーヒュレク騎手、坂口智康調教師ともに初勝利。馬名は「ビザンチン帝国の夢」。