口永良部島 有史以降の火山活動

有史以降の火山活動(▲は噴火年を示す)

年代 現象 活動経過・被害状況等
▲1841(天保12)年 噴火 5月23日。噴火場所は新岳。
8月1日。村落焼亡、死者多数。噴火場所は新岳。
1914(大正3)年 鳴動、地形変化、溶融硫黄噴出 1月。火口底陥没。
▲1931(昭和6)年 噴火 噴火場所は新岳火口西縁。
3月から鳴動。4月2日に爆発(新岳の西側山腹)。土砂崩壊、負傷者2名、馬、山林田畑被害。5月15日にも爆発、降灰。硫黄流出、土地隆起。
1932(昭和7)年 噴煙、鳴動 7月23日頃~。
▲1933~34(昭和8~9)年 噴火 噴火場所は新岳火口。
1933年12月24日から翌1月11日にかけて数回噴火。七釜集落全焼、死者8名、負傷者26名、家屋全焼15棟、牛馬や山林耕地に大被害。
▲1945(昭和20)年 噴火 11月3日。噴火場所は新岳火口東外壁。
割れ目噴火、噴石、降灰。
▲1966(昭和41)年 噴火 11月22日。噴火場所は新岳。負傷者3名、牛被害1頭。
空振は、鹿児島市や種子島でも体感。小規模火砕流の発生。
▲1968~69(昭和43~44)年 噴火 12月~翌年3月。噴火場所は新岳。
▲1972(昭和47)年 噴火 9月2日。噴火場所は新岳。
▲1973(昭和48)年 噴火 11月5~19日。噴火場所は新岳。
▲1974(昭和49)年 噴火 6月3日。噴火場所は新岳。
▲1976(昭和51)年 噴火 4月2日。噴火場所は新岳。山麓で爆発音が聞こえる。降灰が北西約2kmの向江浜、前田で約1cm積もる。
▲1980(昭和55)年 小規模:水蒸気噴火 9月28日。噴火場所は新岳東側斜面。多数の爆裂火口が新岳の東側斜面に南北800mのほぼ直線上の割れ目に沿って生じた(昭和20年の割れ目と同じ場所)。 マグマ噴出量は0.0001 DREkm 3。(VEI1)
1982(昭和57)年 噴気 10月。新岳火口北東に噴気孔4ヶ所生成。
1996(平成8)年 地震 1~6月。火山性地震増加。
1999~2000(平成11~12)年 地震 1999年7月~翌年2月。火山性地震増加。北東海域で地震多発。
2003(平成15)年 地震、火山性微動 1~2月。火山性地震増加。火山性微動が2月から観測されるようになる。
2004(平成16)年 地震、火山性微動 2月。火山性地震増加。火山性微動は引き続き時々発生。
2005(平成17)年 地震、火山性微動、地殻変動、噴気 火山性地震はやや多い状態。火山性微動は引き続き時々発生。2~4月にかけ、噴気活動がやや活発化。1月から5月まで新岳火口付近の膨張を示す変化が認められた。
2006(平成18)年 地震、火山性微動、地殻変動 火山性地震や火山性微動がやや多い状態。9月から12月まで新岳火口付近の膨張を示す変化が認められた。
2007(平成19)年 地震、火山性微動 火山性地震や火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態。
2008(平成20)年 地震、火山性微動、地殻変動 9月4日に振幅のやや大きな火山性地震が一時的に増加。9月頃から翌年2月にかけて新岳火口付近の膨張を示す変化が認められ、火山性微動もやや多い状態が続いた。 10月から新岳南壁で白色噴煙活動が始まる。
2009(平成21)年 地震、火山性微動 火山性微動は4月に増加。火山性地震は9月に増加。
2010(平成22)年 地震、火山性微動、地殻変動 火山性地震は、1月から4月に増加。火山性微動は3月と12月に増加。新岳火口付近の膨張を示す変化が9月から始まる。
2011(平成23)年 地震 火山性地震は12月に増加。
▲2014(平成26)年 噴火、火山ガス 8月3日12時24分頃に噴火が発生し、灰色の噴煙が火口縁上800m以上まで上がった。この噴火に伴い、山頂火口から数百メートルの範囲に大きな噴石が飛散。新岳山頂火口の南西側から西側にかけてと東側で、低温の火砕流の痕跡を確認。南西側では海岸近くまで火山灰や火山ガスによる樹木の変色を確認。山頂付近では、新岳火口縁の西側に噴火に伴う新たな割れ目および、新岳火口の北側の一部がわずかに広がっていることを確認。
二酸化硫黄の放出量は、12月に1,000~1,900トンと多い状態で経過した。
▲2015(平成27)年 噴火、地震、火映現象、火山ガス 口永良部島では、1月24日に一時的に地震が増加し、24日23時14分には口永良部島付近を震源とする地震(深さ5km)で、震度1を観測した。3月24日以降、夜間に高感度カメラで新岳西側斜面の火映を観測した。3月25日には、新岳西側の熱異常域で温度の上昇が認められ、火口内で新たな熱異常域を確認した。3月頃から山体浅部を震源とみられる地震がやや増加し始め、島内の深さ2~3kmを震源とする地震も時々発生した。5月23日08時00分には規模の大きな地震が発生し、屋久島町口永良部島公民館で震度3を観測した。
5月29日09時59分に爆発が発生し、黒灰色の噴煙が火口縁上9,000m以上に上がった。この噴火に伴い火砕流が発生し、新岳の北西側では海岸にまで達した。6月18日12時17分頃に噴火が発生し、口永良部島の東海上で、噴火に伴う小さな噴石及び降灰が確認された。屋久島町、西之表市及び中種子町で降灰を確認した。6月19日にごく小規模な噴火が発生。
8月上旬までは、火山性地震がやや多い状況だったが次第に減少。 二酸化硫黄の放出量は、2015年5月初めまでは概ね1,000から4,600トンと多い状態だったが、噴火直前の5月10日以降は数百トンに減少し、噴火直後には1日あたり3,800トンと非常に多い状態だったが、以降次第に減少。
▲2018(平成30)年 噴火 新岳火口では、10月21日にごく小規模な噴火が発生し、同程度の噴火は断続的に12月13日まで続いた。噴火がしばらく停止した後、12月18日には再び噴火が発生し、新岳火口から火砕流が約1,000m流下するとともに、大きな噴石が700mまで飛散した。気象衛星などの観測で、噴煙が海抜高度およそ5,000mに達したことが確認された。同日20時55分には、火柱が火口縁上200mまで上り、噴火は12月20日まで継続。その後、12月28日にも大きな噴石が火口から500mまで飛散する噴火が発生。
▲2019(令和元)年 噴火 新岳火口では、1月2日、17日、20日、29日及び2月2日に噴火が発生し、活発な噴火活動を繰り返した。1月17日09時19分の噴火では、同日09時40分の気象衛星画像で、火口縁上約6,000mの噴煙を観測した。この噴火に伴い、新岳火口から大きな噴石が飛散するとともに、火砕流が南西側及び北西側へ流下したのを確認した。噴火は。同日15時27分頃まで継続した。1月29日17時13分の噴火では、噴煙が火口縁上4,000mまで上がった。この噴火に伴い、新岳火口から火砕流が南西側へ約600m流下したが、大きな噴石は観測されなかった。
▲2020(令和2)年 噴火 新岳火口では、断続的に噴火が発生。1月11日15時05分に噴火が発生し、12日07時30分まで継続。噴煙は火口縁上2,000mで雲に入った。また、噴火に伴う大きな噴石が火口から300mまで飛散し、火砕流は観測されなかった。2月3日05時31分の噴火では、大きな噴石が火口から約600mまで飛散し、火砕流が火口から南西側へ流下した。同日に実施した現地調査で、火砕流の痕跡は新岳火口から南西側へ最長1.5km程度であることを確認。気象衛星画像で火口縁上約 7,000mの噴煙を観測。その後も、ごく小規模な噴火を時々観測したが、8月29日のごく小規模な噴火以降、噴火は観測されなかった。
2023(令和5)年 火山性地震 口永良部島では、噴火は観測されなかった。本村西監視カメラでは、観測開始以来初めて古岳からの噴煙を観測した。新岳では引き続き噴煙を観測した。6月以降、火山性地震が次第に増加し、7月に入ってさらに増加した。火山性地震は主に古岳で発生し、新岳付近でも認められた。火山性地震はその後も増減を繰り返しながら多い状態で経過した。GNSS連続観測では、2023年6月下旬頃から10月頃にかけて古岳付近の膨張を示唆する変動が観測され、11月頃から停滞している。

日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)による。2012年以降は火山活動解説資料(年報)による。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース (工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。 また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。 詳しくはこちらを参照のこと。



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