東日本大震災で運転免許証などを紛失した被災者に対する特例措置を悪用し、虚偽の名前や住所などで銀行口座を不正に開設したとして、埼玉県警が住所不定、会社員早津克至容疑者(24)を詐欺容疑などで逮捕していたことが捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、早津容疑者は4月11日、東京都新宿区の銀行で、被災者を装い、架空の名前で岩手県大船渡市に在住していると申告し、新規に口座を開設して通帳をだましとった疑いがある。
早津容疑者は同様の手口で複数の口座を開設していたといい、申請で届け出た携帯番号が全て一致していたため、不審に思った銀行が警察庁に通報していたという。県警は早津容疑者が複数の通帳を持っていたことから、転売目的だったとみて捜査している。
早津容疑者は今年5月、JR大宮駅で子供用の切符で改札を通過したとして、軽犯罪法違反の疑いで書類送検されていた。
政府は被災者への特例措置として、本人確認の書類が無くても金融機関に口座を開設できるように、犯罪収益移転防止法の施行規則の一部を改正し、3月25日に施行していた。この措置で、家財を失った被災者は、窓口で被災者であることを告げれば、名前などは自己申告で口座が開設できるという。