スロバキア新首相、対ウクライナ軍事支援の停止を表明 「私たちに一切無関係」

ウクライナ東部バフムト周辺で、対戦車ロケット弾を発射するウクライナ兵=25日(ゲッティ=共同)
ウクライナ東部バフムト周辺で、対戦車ロケット弾を発射するウクライナ兵=25日(ゲッティ=共同)

【ロンドン=黒瀬悦成】スロバキアのチャプトバ大統領は25日、9月末の総選挙で第1党となった左派の「スメル(道標)」を率いるフィツォ元首相を新たに首相に任命した。ロシアに侵略されたウクライナへの軍事支援の停止を選挙公約に掲げていたフィツォ氏は翌26日、ウクライナへの兵器供与を停止すると正式に発表した。

ウクライナの隣国であるスロバキアは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の加盟国で、これまでは戦闘機や防空システムなどの兵器供与や避難民の受け入れなどを通じてウクライナ支援に積極的に取り組んできた。

フィツォ氏は「ウクライナでの戦争は私たちに一切無関係だ」と主張。今後の対ウクライナ支援は人道および民生分野に限定するとした上で「戦闘の即時停止がウクライナにとって最善の解決策だ」と述べた。

新たな対露経済制裁に関しても、スロバキア経済に悪影響が出ないか見極めてからでないと実施しないと強調した。

フィツォ氏は26、27日にブリュッセルで開催中のEU首脳会議に出席。ハンガリーのオルバン首相とともにウクライナへの軍事支援に反対を表明し、ウクライナをめぐるEUの結束を揺さぶる事態を懸念する声が強まっている。

スメルは選挙結果を受け、中道左派「声」と親露派の極右政党と連立政権を発足させることで合意。フィツォ氏は2006~10年、12~18年にも首相を務めた。

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