中国南方航空、12月末に航空連合「スカイチーム」脱退
【広州=比奈田悠佑】中国航空最大手の中国南方航空は、12月末に航空連合「スカイチーム」を脱退する。同連合には、南方航空と競合する大手の中国東方航空も所属しており、同じ連合内で利害が一致しにくくなっていた。今後、南方航空は他の航空連合に参加するか、独自路線を取るかが焦点になる。
南方航空は、米デルタ航空やアエロフロート・ロシア航空が所属するスカイチームから脱退する。航空券を協力して売るコードシェア(共同運航)など加盟各社との提携関係については今後、個別に交渉して継続を検討するという。
航空連合への加盟は、コードシェアなどを通じて自社にはない路線を取り込むことができ、顧客サービスを高められる利点がある。加盟社は空港ラウンジや機内食工場などの共用でも協力する。
コスト抑制につながるため各国の主要航空会社はスカイチームのほか、独ルフトハンザ航空や全日本空輸の「スターアライアンス」、米アメリカン航空や日本航空の「ワンワールド」に加盟するのが一般的だ。同じ国で競合する企業は別の連合に加盟することが多い。
ただ、中国では南方航空のライバルである東方航空が同じスカイチームに所属している。東方航空の本拠地である上海はビジネスと観光の巨大需要を抱える。そのため他国の加盟社は上海へ積極的にフライトを設け東方航空の国内線につなぐ戦略を採ってきた。南部の広東省広州市を本拠地とする南方航空の連合内での立場は強くなかった。
南方航空の今後を巡っては中国大手が加盟していないワンワールドに加盟するとの見方と、連合には加わらないとの見方がある。アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空が大手連合に加わらず、個別提携を通じて柔軟に路線網をつくりあげるなど「無所属」の成功例も出ているためだ。