小池百合子東京都知事率いる国政新党「希望の党」が、民進党のリベラル派に踏み絵を迫っている。希望の党に衆院選での公認を申請する民進党の立候補予定者に対し、安全保障関連法や憲法改正への賛同を条件として突きつけ始めたのだ。民進党カラーの払拭(ふっしょく)が狙いだが、選別する希望の党側も「すねに傷」の印象は否めない。(松本学)
「全員を受け入れることはさらさらない。政策的に一致しないといけない」
小池氏は29日、都内で記者団にこう強調した。その後の記者会見では「排除」「絞り込み」という露骨な表現まで飛び出した。
希望の党関係者によると、公認の可否は安保法制存続と憲法改正に賛成するかを基準に決める。2年前の安保関連法案の衆院採決で賛成した旧民主党議員は一人もいない。看板を替えた民進党は安保法制は違憲だとして公然と「白紙化」を訴えてきた。希望の党は公認申請者に「改宗」を迫っているに等しい。
民進党側には踏み絵を拒否する動きが表面化し始めた。リベラル系の赤松広隆元衆院副議長グループに所属する逢坂誠二前衆院議員は29日、「希望の党と肌が合わない」として無所属で立候補すると表明した。
公認申請見送りを検討する前職の中には、新党結成や民進党の分党を模索する動きもある。しかし、ポスター印刷などの日数を考慮すると実現性は乏しい。社民党出身の阿部知子前衆院議員は28日、都内で記者団に「公示まで2週間くらいあるなら(新党結成を)やったかもしれないが、もう無理だ」と嘆いた。