結成10年目にメンバー19名全員卒業 「アイドリング!!!」が残したものとは | ニュース | Deview-デビュー

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2015/11/01 17:44

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結成10年目にメンバー19名全員卒業 「アイドリング!!!」が残したものとは

10月31日の生放送を持ってメンバー19名全員が卒業したアイドリング!!!。今後はそれぞれの道を歩んでいく。(C)Deview
10月31日の生放送を持ってメンバー19名全員が卒業したアイドリング!!!。今後はそれぞれの道を歩んでいく。(C)Deview

 アイドルグループブームの一翼を担ってきたアイドリング!!!が、結成10年目を迎えた10月31日に冠番組『アイドリング!!!』(CSフジテレビONE)の最終回生放送スペシャルに出演。メンバー19人全員が卒業となり、それぞれの道を歩んでいく。

 アイドリング!!!が9人でスタートしたのは2006年10月。当時は一世を風靡したモーニング娘。の人気も一時の勢いを失い、アイドルシーンは停滞。前年にAKB48が秋葉原の専用劇場を拠点に“会いに行けるアイドル”との斬新なコンセプトを掲げてデビューしていた。

 アイドリング!!!はフジテレビの帯番組発のアイドルとしては、おニャン子クラブ、乙女塾、チェキッ娘の歴史に連なるが、地上波ではなくCSでの放送。メディア発信ながらコアなファンをターゲットにしたのは、時代を見据えてAKB48と同じ志向だった。

 ただ、番組は“アイドル育成”を謳いつつ徹底したバラエティ志向。最終回で1期生の横山ルリカが「人生で初めて関節技をかけられたり、赤タイツを着たり、パイを投げられたり、相撲をしたり」と振り返ったように、いわゆる“アイドル”扱いをされず、体を張った様々な企画に挑戦。罰ゲームで顔面に強風を当てられ、歯茎むき出しなどの変顔をさらすことも恒例に。

 感動のフィナーレとなるはずの最終回でも、18時からの生放送の冒頭、メンバーたちが待機する楽屋の時計はまだ17時45分という遅刻ドッキリを仕掛けられ、スタジオまで廊下や階段を急ぎで走らされた。

 こうした企画をやり切るなかで、メンバーはバラエティ力を上げ、MCのバカリズムとの掛け合いでトークも磨かれていった。よゐこの濱口優がラジオでアイドリング!!!について「めちゃくちゃ面白い。間も言葉も芸人のテンポ。バカリズム塾で鍛えられている」と絶賛したことも(バカリズムも番組開始当初は無名の芸人だったが)。卒業生の菊地亜美はバラエティタレントとして活躍中だ。

 最終回ではメンバーが1人ずつスピーチ。「同期でTIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)ですごく怒られて、泣きながら感情をむき出しにして話し合った」(古橋舞悠)、「修学旅行にも行けず恋愛もできなかったけど、青春をすべてアイドリング!!!に捧げて良かった」(横山ルリカ)、「みんなと毎日会っているのに早く会いたくて、学校を早退してスタッフルームにいたり、終わっても話し足りなくてずっと残っていたり」(外岡えりか)など、全員が涙して、思い入れたっぷりにエピソードを話した。

 そんななかでも、朝日奈央が鼻をすすって声を詰まらせながら「最後にミニ話なんですけど……(髪形の)分け目を変えました」とオチを付けたり、笑いを取る姿勢も貫いていた。横山は「アイドリング!!!に入る前はできないことはやらない主義。でも、できないことが恥ずかしいのでなく、一生懸命やらないこと、楽しめないことが損だと気づけました」とも。芸能界を目指す人は心に留めておくべき言葉だろう。

 2008年に『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ系)でAKB48と共演した際は、「AKBさんは魅せるアイドル。私たちは笑われるアイドル」などと自虐ネタを語りつつ、面白さでは完全に持っていった。AKB48もその後、『AKBINGO!』(日本テレビ系)など冠番組で体を張る企画が増え、アイドルもバラエティでの対応を磨くように。吉本興業がマネージメントするNMB48なども笑いに力を入れ、結果、アイドリング!!!の得意分野がアイドル界で必ずしも突出したものではなくなった。とはいえ、アイドリング!!!が21世紀型アイドルの形としてバラエティに特化した先駆者だったことは動かない。そちら方面での実力は、最後まで一歩上を行っていた。

 その一方、意外と見過ごされているが、アイドリング!!!は楽曲も良質だったこと。デビュー曲『ガンバレ乙女(笑)』のような元気系、『職業:アイドル。』のようなコミカル系とイメージ通りのものの他に、『Like a Shooting Star』のようなバラードの名曲、『MAMORE!!!」のような力強いメッセージソングなど多彩。アルバムを聴くと満腹感が高く、特に3rd『SUNRISE』は青春のきらめきも感じられる名盤だ。

 ライブでは口パクをやらなかった。ソロデビューした横山や昨年卒業した遠藤舞はアイドル界屈指の歌唱力を発揮。なかにはソロパートで「おいおい」とツッコミたくなるメンバーもいたが、そこも全てさらけ出すのもアイドリング!!!流。ライブを重ねて成長を感じられたのも良かった。

 2009年4月にはAKB48との合体ユニット「AKBアイドリング!!!」を結成し、シングル『チューしようぜ!』をリリース。この時点では人気は拮抗していたが、AKB48は同年10月発売の『RIVER』で初のオリコン1位となり、国民的グループに駆け上がる。同じコアから出発しながら、その差は大きく開いていった。だが、AKBブームに留まらないアイドルグループブームが起きたのは、やはり一方にアイドリング!!!がいたから。前述のバラエティ路線の開拓、そして『TOKYO IDOL FESTIVAL』をホスト役として牽引しシーンを盛り上げるなど、その功績は決して小さくない。

 卒業を前に、大川藍らが『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)に“フジテレビに恨みを持つ芸能人”として出演し、「フジテレビいち推しのアイドルのはずなのに他の番組で使ってくれないし、他局の番組には出られないから売れなかった」などとぶっちゃけていた。それすらネタにするのもアイドリング!!!らしいし、社会現象となったおニャン子クラブの『夕やけニャンニャン』も2年半で終わったことを考えれば、『アイドリング!!!』が9年も続いたのは大きなこと。10月29日深夜に予定されていた地上波の最終回90分スペシャルが、日本シリーズ中継の延長で卒業後に放送延期されたのも、もはや最後までネタに恵まれていたと思える。

 生放送の最終回スペシャルの放送終了後、スタジオでは「5年後の2020年10月31日に全員集合」と発表された。河村唯は「30過ぎてる!」と叫びを上げたが、その頃に19人からトップスターが生まれていて、かつ、最終回でのスタッフの要望通り「アイドリング!!!を黒歴史扱いしていないこと」に期待したい。

(文:斉藤貴志)

関連写真

  • 10月31日の生放送を持ってメンバー19名全員が卒業したアイドリング!!!。今後はそれぞれの道を歩んでいく。(C)Deview

  • 最後の生放送開始早々のドッキリを受け、いつもどおりの現場にメンバーの緊張も和らぐ(C)Deview

  • 番組後半は一人ずつマイクの前に立って卒業のスピーチ。全員の名前を挙げて「尊敬しているところ」を語った17号・三宅ひとみ。

  • 感動的な話にもぶっちゃけ話を混ぜてスピーチする12号・河村唯。メンバーも思わず泣き笑い。

  • 目を潤ませながら9年前に思いを馳せる9号・横山ルリカ。

  • アイドリング!!!への熱い思いを語る6号・外岡えりか。

  • 最後にスピーチに立ったバカリズム・升野英知。スタッフ、ファンへ感謝を述べたあと、アイドリング!!!へのお手紙は見つからない、というオチを付け、『アイドリング!!!』らしく番組を締めた。

  • アイドリング!!!最終回を見届けた「ファン様」に深々と礼をするメンバー。

  • 「ファン様」に思いを込めて手を振る。

  

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