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5月 1日 (第686回)

 サケの死骸一晩で骨だけに ゴールデンウィークイベント情報


 千歳川水中観察室では、サケの稚魚がだんだんと少なくなり、水温の上昇とともにアメマスやブラウントラウト、ウグイが姿を見せるようになってきました。
 先日の朝、2月に紹介した窓前にあるサケの死骸が一晩で骨だけになっていました。前日の夕方はほぼ全身の身が残っていたので、驚きました。
 よく見ると、骨は死骸が横たわっていた位置よりも、少し上流側へ移動していました。そういえば前日、大型のエゾウグイがサケの死骸近くで砂利をつつきながら泳いでいて、ウグイが身をつついた犯人なのかもしれません。1月末にたどり着いた死骸は、およそ3ヶ月で骨まで分解されたのでした。
 さて、ゴールデンウィークは後半に入り、明日から5連休の方もいらっしゃると思いますが、ふるさと館のイベントを紹介します。
 4月から道の駅情報コーナーがふるさと館に移動して館内にフリースペースが出来たこともあり、ふるさと館に入館した方もそうでない方も楽しめるイベントを行います。
 入館者を対象にしたイベントでは、小中学生が参加できる館内クイズラリーがあります。クイズをやった後は、抽選でシールやバッチなどのオリジナルグッズをプレゼントしています。また稚魚
骨だけになったサケの死骸
の放流体験も、午前11時と午後2時の2回行っています。
 どなたでも参加できるイベントでは、サーモンパーク内の5店舗でキーワードを集めて応募すると、抽選で景品が当たる道の駅クイズラリー、ヨーヨー釣り(1回100円)やニモ抽選会(200円)があります。そして恒例のサーモンフェスティバルは5月5日、機甲太鼓の演奏と稚魚放流式を行います。
 連休中も、どうぞサケのふるさと館にご来館ください。お待ちしております。

(学芸員 荒金 利佳)



5月 8日 (第687回)

 にぎわったサーモンフェス 23日、15周年記念講演会


  今年のゴールデンウィークは、夏のような陽気が続き、5月5日のサーモンフェスティバルも多くの来場者で賑わいました。ご来館いただいた多くの方々には心からお礼を申し上げます。
 今年、ふるさと館は開館15周年を迎えますが、それを記念した講演会を開催します。講師は旭山動物園名誉園長の小菅正夫(こすげまさお)氏です。
 小菅氏は1949年、札幌市生まれ、73年に北大獣医学部を卒業後、旭山動物園に入園しました。95年に園長になり、動物本来の姿を見せる「行動展示」で旭山動物園を全国屈指の動物園に再生しました。
 今年3月31日に定年退職し、4月から名誉園長に就任しました。
 現職時代は、日本動物園水族館協会の副会長の要職にあって、日本の動物園と水族館を取り巻く、多くの難問を解決してきた実績が光ります。また、同協会の北海道ブロック代表理事として、北海道内の動物園と水族館のレベルアップに尽力されました。
 私が小菅氏と初めて会話をしたのは、7年前の旭山動物園での研究会の時でした。当時は猛獣舎が新しくなり、ペンギン館がオープンした年で、旭山フィーバーの始まりの時でした。
 「北海道が、大沼の外来魚ブラックバスを水中発破で駆除しようとしたら、水産庁からストップがかかった。これを君はどう思う」
 小菅氏の単刀直入な質問にドギマギしましたが、北海道の自然環境を危惧する熱いものを感じました。
勇壮な機甲太鼓から始まった
サーモンフェスティバル
 当時、旭山ではペットブームの中だからこそ、日本で無防備になっている「狂犬病」の防疫の必要性を訴えるパネル展が開催されていました。
 小菅氏は動物園がもつ役割についてブレのない座標軸を持っておられます。
 講演会は、「動物園・水族館の地域における役割について」と題して、今月23日土曜日、千歳市民文化センター中ホールで午後1時から開演します。

(学芸員 遊佐 清明)



5月 15日 (第688回)

 ふ化場創始者のご子孫来館 有名タレントとサケの意外なつながり


 以前のサモン君だよりで、サケと空港のつながりについてご紹介しましたが、今回もサケの歴史に関わる人物が取りもつ、意外なつながりについてお話しします。
 日本における本格的なさけ・ますふ化放流事業は、明治二一(一八八八)年、千歳川に千歳中央ふ化場(現さけますセンター千歳事業所)が建設されたのが始まりです。この日本初の官営ふ化場を建設し、日本におけるふ化放流事業の礎を築いた人物が伊藤一隆です。
 先日、その伊藤氏の血筋にあたる方たちが、突然ふるさと館にご来館くださいました。休暇を取り、当館に展示している伊藤一隆氏の顔写真に会いにいらしたそうです。
 実はひ孫さんにあたるお母さんは、以前にもご来館されていて、お客様用の雑記帳「あぶらびれノート」に、伊藤一隆さんの子孫である旨の記述をしてくださっていました。その時はお会いすることもできず、どなたか分からなかったのですが、今回はご本人からのお申し出があり、ようやくお話しすることが出来ました。
 まさか伊藤一隆氏のご子孫とお会いできる日が来るとは、私たちにとっても本当にびっくりだったのですが、さらに驚いたのは、何と玄孫(やしゃご)さんにあたる娘さんは、テレビでも有名
中川翔子さん(左から3人目)と記念撮影
な「しょこたん」こと、タレントの中川翔子さんだったのです。
 伊藤氏の写真とも対面を果たし、皆さんで当館を楽しんでくださったご様子は、「しょこたん☆ブログ」http://blog.excite.co.jp/shokotan/2871577/に掲載されています。
 伊藤一隆氏ご本人とお話しをされたことがある、お孫さんにあたる方もいらっしゃるとのこと。ぜひ次回は、インディアン水車が稼働しているサケの遡上時期に、お揃いでご来館いただきたいと思います。 

(学芸員 菊池 基弘)



5月 22日 (第689回)

 シロチョウザメのオス到着 明日、小菅正夫名誉園長の講演会開催


 サーモンパークではサクラやキタコブシの花が終わり、木々に新緑が芽生えてきました。千歳川の水温も10度を超え、先日は水中観察室では婚姻色の出たウグイ、アカハラの姿が見られたりと、初夏の訪れを感じます。
 今回はシロチョウザメの話です。大水槽には、開館当初から水槽で泳いでいるシロチョウザメのメスがいます。来たときは5年魚だったので、開館15周年となる今年で20歳となります。体長はおよそ2メートル、体重60kgと、ふるさと館一の長寿で大きな魚です。
 開館当初、シロチョウザメは大水槽と予備水槽を含めて8匹いましたが、現在はこの1匹だけとなりました。お腹がふっくらとしていて、「多分メスだろう」と予想していたところ、昨年12月に北海道大学の協力で雌雄判別を行うことができました。結果、やはりメスでした。しかも、その卵はこの春に人工受精ができるかもしれないという状態で、現在二世誕生に向けて大水槽の水温調整を行っているところです。
 そんな折り、先週美深町にあるチョウザメの水族館・チョウザメ館から、繁殖用にオス2匹をお借りできました。うれしいことです。メスより少し小型で、しかも1匹は搬入時頭に傷を負ってしまったのですが、最近は水槽にも慣れ、のんびりと泳いでいます。
大水槽のシロチョウザメ
(手前がオス、奥がメス)
 シロチョウザメが3匹、そしてアムールチョウザメとベステルを合わせて、現在大水槽には8匹のチョウザメが泳いでいます。
 さて、明日23日ですが、ふるさと館開館15周年を記念して、旭山動物園の小菅正夫名誉園長の講演会が行われます。場所は千歳市民文化センター中ホールで午後1時から、演題は「動物園・水族館の地域における役割について」です。入場は無料ですので、ぜひ多くの方に来ていただきたいと思っております。

(学芸員 荒金 利佳)



5月 29日 (第690回)

 旭山動物園・小菅名誉園長の講演会 ふるさと館にエールも

 先週の土曜日、旭山動物園名誉園長小菅正夫氏の講演会が開催されました。
 飛ぶように水中を泳ぐペンギン、意外に体が柔らかく愛嬌のあるアザラシ、水中でその毛並みの美しさが光るホッキョクグマ。旭山動物園にいる野生動物たちの本来持っている能力やユーモラスなしぐさ、動物たちの裏話などが講演全体の中で映像により次々と紹介されました。あたかもそれは、私たちが旭山動物園に行っても経験することのできない、前園長小菅氏による「旭山動物園スペシャルガイドツアー」ともいうべき素晴らしいものでした。
 「人は有史以来、人だけで生きています。子どもたちは人以外の生き物と出会える機会がどんどん少なくなってきているんですね。人だけの社会にいると、人とは何か、ということを考えなくなってしまうと思うんです。そうすると、生き物の中では人だけが尊い、なかでも自分だけが尊いと思ってしまうと思うんです。それは子どもにとって不幸なことであり、親にとっても大きな不幸なんです。」
 「なんで野生動物を見せるのか、その動物のすばらしさを知ることで、野生動物を守ろうという活動につながります。」
 「野生動物は、ほかの動物にはできない、自分にしかできない能力で生き残っています。
 これは種が持っている本来の能力で、これを自然に見せているのが行動展示なんです。」
 「動物園の動物は、かわいそうな動物という話を、幸せそうな動物だねという風にするには、
講演会の様子
施設を変えなければいけない。」
 「動物たちってすごいよね、といって帰ってもらう。そのことは人間性を回復することにもなるし、野生動物の保護・保存にフィードバックします。」
 講演の最後には、「サケの遡上が見られる水族館は、アメリカのモントレーと千歳だけ。このすばらしい施設を手放してはいけない。」と、ふるさと館に力強いエールもいただきました

 

(学芸員 遊佐 清明)




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