宇多田一気に「好きなタレント」1位

宇多田ヒカル 日本国民はヒカル大好き−。歌手、宇多田ヒカル(16)が12日に発表された「好きなタレント99」(NHK放送文化研究所調べ)で、昨年の圏外(50位以下)から一気にトップの座に輝いた。圏外から1位は前例がなく、昨年の歌謡界を席巻した宇多田の人気を実証した形。一方、97、98年の調査で2年連続2位だった広末涼子(19)は、29位に急落した。(写真=NHKの人気タレント調査でトップの座についた宇多田ヒカル。今年はどんな魅力を発揮する?

 昨年3月に発売したデビューアルバム「First Love」のセールスが800万枚を突破、日本音楽史に金字塔を打ち立てた16歳の少女が、その実力とともに、国民的な人気も証明してみせた。

 昨年9月にNHK放送文化研究所が行った「好きなタレント99」(無作為抽出で3600人対象)で、第2位の和田アキ子を抑え、堂々の1位を獲得。一方、男性タレント部門は、毎年、所ジョージ、ビートたけしらと争う明石家さんま(44)が昨年に続き1位になった。

 宇多田は、一昨年12月にデビュー。一昨年9月に調査が行われた昨年の「好きなタレント98」の50位以内には入っておらず、今回の調査で圏外からのランクインとなった。この驚異的躍進は、調査が始まった1975年以来、初のケース。他のタレントたちが、時間をかけてランクを上げるのと違い、一気にしかも広く日本中で受け入れられた。

 さらに、同研究所によると、順位とテレビ出演(露出)は比例するのが普通だが、宇多田は昨年、学業優先でテレビ出演は数回。出演を懇願された昨年のNHK紅白歌合戦にも出演しておらず、同局にとっては皮肉な結果となった。

 「ここ数年は、好みが多様化している。特に若い層では、パッと人気に火がついたタレントに投票する傾向が強い」(同研究所)といい、宇多田以外にも、若年層に人気の歌手、鈴木あみ(17)が前年の圏外から8位に、同じく歌手の浜崎あゆみ(21)が10位に躍進した。

 国民の支持を受けた宇多田は今年9月、米ニューヨークの名門・コロンビア大学への進学が有力視されており、生活も音楽活動も米国が拠点になる。が、シンガー・ソング・ライターとして成長を遂げることは間違いなく、新たな魅力をふりまいてくれそうだ。

 
●NHK「好きなタレント99」の20傑●
【男性タレント】
【女性タレント】
(1)
 明石家 さんま
(1)
(1)
 宇多田 ヒカル
(−)
(2)
 北島 三郎  
(4)
(2)
 和田 アキ子 
(1)
(3)
 五木 ひろし 
(6)
(3)
 安室 奈美恵 
(31)
(4)
 ビートたけし 
(5)
(4)
 天童 よしみ 
(6)
(5)
 所 ジョージ 
(3)
(5)
 石川 さゆり 
(34)
(6)
 木村 拓哉  
(9)
(6)
 小林 幸子  
(19)
(6)
 G L A Y
(10)
(7)
 松嶋 菜々子
(8)
(8)
 S M A P
(10)
(8)
 鈴木 あみ  
(−)
(9)
 森 進一   
(25)
(9)
 中山 美穂  
(11)
(10)
 織田 裕二
(17)
(10)
 浜崎 あゆみ 
(−)
(11)
 細川 たかし 
(13)
(10)
 藤原 紀香  
(15)
(12)
 福山 雅治  
(21)
(12)
 山口 智子    
(6)
(13)
 タモリ(森田一義)
(11)
(13)
 小泉 今日子 
(55)
(14)
 KinKi Kids
(7)
(14)
 久本 雅美  
(3)
(15)
 美川 憲一  
(50)
(15)
 中村 玉緒  
(10)
(16)
 高橋 英樹  
(15)
(16)
 深田 恭子  
(41)
(16)
 堂本 剛   
(26)
(17)
 SPPED  
(4)
(18)
 反町 隆史  
(2)
(18)
 藤 あや子  
(19)
(19)
 中居 正広  
(24)
(19)
 市原 悦子  
(33)
(20)
 西田 敏行  
(17)
(20)
 坂本 冬美  
(16)
※カッコ内は前年度順位。−はランク外

 
●好きなタレント歴代トップ●
年度
【男性タレント】
【女性タレント】
 89年
 明石家さんま   山田 邦子
 90年
 ビートたけし   山田 邦子
 91年
 ビートたけし   山田 邦子
 92年
 ビートたけし   山田 邦子
 93年
 ビートたけし   山田 邦子
 94年
 ビートたけし  山田 邦子
95年
 明石家さんま  山田 邦子
96年
 所 ジョージ   山口 智子
97年
 反町 隆史   山口 智子
98年
 明石家さんま   和田 アキ子

 

★安室が前年31位から一気に3位に

 今回の調査では、出産による休業から復帰した安室奈美恵も前年の31位から一気に3位に戻った。北島三郎、五木ひろし、森進一、和田アキ子、天童よしみ、石川さゆりというベテランがベストテンに食い込んできているのも特徴。これについて同研究所は「人口構造の変化を反映し、中高年者の支持が結果に影響した」と分析している。一方、宇多田と明暗を分けた広末涼子は昨春、早大進学を果たし、高倉健と映画「鉄道員(ぽっぽや)」で共演するなど注目の的だったが、人気上昇には結びつかなかった。

好きなタレント調査とは
 NHK放送文化研究所が1975年から毎年実施。出演者を選ぶときの参考にしたり、放送文化の研究に役立てている。今回の調査期間は’99年9月1日から30日まで。全国から無作為に選んだ7歳以上の国民3600人を対象に、好きなタレントの名前を男女3人ずつ自由に書いてもらう形式で、有効数は2134人だった。男女とも50位まで発表され、小冊子として、13日から発売される(1部1000円)。問い合わせはNHKサービスセンター電話03・3464・4541へ。

◆芸能ジャーナリスト、二田一比古(ふただ・かずひこ)さん
 「今回のNHKの調査で宇多田が1位になって広末が急落したのは、去年の2人の対照的な生き方を反映していて興味深いですね。宇多田は学業優先で芸能活動を控えたことが好感を持たれたのに対し、広末は推薦で早大に入りながら入学式にも出ず、バッシングされてようやく6月に登校した。その差でしょう。広末が今後、人気を回復するためには、とにかく学業を優先してしばらくたってからイメチェンするなどの秘策が必要では。宇多田もヒット曲がないと、今の人気を保つことは難しいと思います」