欧州委、ウクライナのEU加盟交渉を各国に勧告…条件付きで

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 【ブリュッセル=酒井圭吾】欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会が8日、ロシアの侵略を受けるウクライナのEU加盟交渉を条件付きで開始するようEU加盟国に勧告した。12月14~15日のEU首脳会議で承認されれば、来年にも加盟交渉が開始する可能性がある。異例の速度で加盟プロセスが進む背景には、EUがウクライナとの連帯を示す意図がある。

ブリュッセルの欧州連合(EU)本部=AP
ブリュッセルの欧州連合(EU)本部=AP

 EUへの新規加盟には、希望国の加盟申請後、EUが〈1〉加盟候補国に認定〈2〉加盟交渉の開始決定――の手順を踏む必要がある。各手順には通常、数年の期間を要するが、ウクライナは昨年6月、申請から約4か月後という異例の速さで加盟候補国に認定された。

 読売新聞が入手した欧州委報告書では、欧州委がウクライナに対して加盟交渉開始の条件としていた7項目の国内改革のうち、▽司法に関する一定の独立性▽マネーロンダリング防止策――など4項目を「要求に達した」と評価した。一方で、▽汚職対策▽オリガルヒ(新興財閥)の影響削減――など3項目は進展が「不十分」とした。欧州委は、この3項目の改革を済ませた時点で「正式に交渉を開始するべきだ」とも勧告した。

 通常の加盟プロセスでは全ての条件をクリアしなければ、加盟交渉は開始させない。2014年に加盟候補国となったアルバニアの交渉開始決定は20年で、ウクライナの「特例扱い」が続いている。

 ウクライナ支援は、パレスチナ情勢への注目で関心が落ちており、欧州委は政治的メッセージの発信が必要と判断したとみられる。ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長は4日、訪問先のウクライナで「EUはウクライナに連帯と結束という安心感を与える必要がある」と述べていた。12月のEU首脳会議での承認は全会一致が必要で、ロシアとの関係も重視するハンガリーなどが反対する可能性もある。ウクライナが35章のEU法体系を国内法に適用させるプロセスには数年~10年かかるとの見方が根強く、実際の加盟への道のりは遠いのが現状だ。

 一方、欧州委はモルドバとボスニア・ヘルツェゴビナの加盟交渉開始と、ジョージアを加盟候補国とする勧告も出した。

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