BARホンダ、2002年体制を発表

2001.12.19 自動車ニュース 河村 康彦

BARホンダ、2002年体制を発表

F1チーム「BAR(ブリティッシュアメリカンレーシング)」は2001年12月18日、2002年シーズンを戦うマシン「BAR004」およびチーム体制を発表した。エンジンサプライヤー、ホンダとの契約を2004年まで延長したのに加え、ブリヂストンタイヤと長期契約延長を結んだことが明らかになった。

■ポロックが去る

しかし最大のニュースは、1997年11月のチーム設立以来、代表兼マネージングディレクターを務めたクレイグ・ポロックがチームを離れ、替わりに名門ラリーチーム「プロドライブ」の会長デイヴィッド・リチャーズが同ポストに就任したことだろう。

ポロックは、97年ワールドチャンピオンのジャック・ヴィルヌーヴのマネージャーとして96年からF1に携わり始めた。97年11月、レーシングカーメーカー「レイナード」代表のエイドリアン・レイナードらとともに、イギリスのタバコメーカーBAT(ブリティッシュアメリカンタバコ)から資金を得て「ティレル」チームを買収、「BAR」を興した。
BARとしては99年から参戦開始。ヴィルヌーヴをメインドライバーに、また2000年からホンダエンジンを獲得し戦いにのぞむも、目立った成績は残せず。現在までのレース最高位は2001年シーズンの4位、表彰台の頂上にはまだのぼっていない。

BATから潤沢な資金を得ているといわれながら結果を残せなかったポロック。創設者のひとりであるレイナードとの確執も取り沙汰され、「チーム離脱」は度々噂されていた。

ポロックがチームを去った今、ヴィルヌーヴの今後に注目が集まっている。来季以降もマネージャー/ドライバー関係を継続するというこの2人、一説では、2003年からルノー(旧ベネトン)チームへそろって移籍するのでは、といわれている。

■後任は「ラリー界のエクレストン」

ポロックの後任は、WRC(世界ラリー選手権)にスバル・インプレッサで出場する「プロドライブ」チームの会長、デイヴィッド・リチャーズ。今年49歳のイギリス人は、WRCのコマーシャル権、テレビ放映権などを保有するISC(インターナショナルスポーツワールドコミュニケーションズ)のオーナーでもあり、いわば「ラリー界のバーニー・エクレストン」的存在だ。F1チームのマネージメントに携わるのは、97-98年ベネトンに次ぐ2回目となる。

BARのマネージングを担当するにあたり、リチャーズは、早急な組織変更はないとしつつ、「これからの数ヶ月で状況を評価してから決めたい」とコメントしている。ラリーで鍛えたチーム運営のノウハウが、F1でどこまで発揮されるだろうか、期待したい。

■大幅なエンジン強化

2000年にF1カムバックを果たしたホンダ。しかし同じ年に復帰したBMWエンジンが、すでに今季4勝を記録しているのに対し、ホンダはいまだ勝ち星をあげられないでいる。

その起死回生をはかりたいホンダが2002年に投入するV10エンジン「RA002E」は、2001年型に大幅な改良を加えたもの。軽量化されたほか、Vバンク角が広められ、重心も低くなったという。またホンダはシャシー開発にも積極的にかかわったという。
復帰「3年目の正直」、なるか。

■福田良、テストドライバーに

ドライバーのラインナップは、ヴィルヌーヴ、オリヴィエ・パニスと変わらないが、今回、同チームのテストドライバーとして、2001年の仏F3チャンピオン、福田良が抜擢されたことが明らかになった。福田は、英国F3チャンプ、佐藤琢磨のチームメイトだったアンソニー・デイヴィッドソン、ダレン・マニング、パトリック・ルマリエとともに、各サーキットでテストプログラムをこなす。
2001年の英仏F3王者、佐藤と福田。近い将来GPで戦うシーンを見てみたいものだ。

(webCG 有吉)

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