くるみ割り人形の歴史 文:中村邦子
 
くるみ割り人形の起源

 とても古い時代から、「くるみ割り」はありました。
 
 人の顔、動物の形、ペンチのような形・・などなどです。
 
 けれど、現在一般的に知れ渡っている「くるみ割り人形」の故郷は、旧東ドイツと、チェコスロヴァキアとの国境近くのエルツ山地のザイフェンという小さな村です。

 この地方は、銀、錫鉱石採掘の村で15-16世紀にかけて栄えました。しかし、その後鉱山が閉鎖され、村の人々の生活は苦しい物となりました。そこ
で、手工業として発達したのが、周りにあった木材を利用した木製のおもちゃでした。

 そしてそれらは海外へも輸出されるようになり、、おもちゃ生産が主要産業となり、村全体の約6−8割の人々が、おもちゃ作りに従事するようになりました。

 今では、観光客が多く訪れ、クリスマス真近になると、とても多くの人出でにぎわいます。村には、立派な”おもちゃ博物館”があり、人々はそこで数え切れないくらいのおもちゃを見ることが出来ますし、また、その製作過程も知ることができます。村の中心地には、巨大なクリスマスピラミッドがたてられ、また、巨大なくるみ割り人形も観光客を出迎えてくれます。

 
怖い顔。厳しい顔。どうして、可愛い顔ではないのでしょうか?
 ・・・その昔、決して楽ではない村人達の生活に追い討ちをかけるように、王様や役人達は重税をとりたてました。その鬱憤を晴らすために、村人達は、人形を作り、それに、硬いクルミを割らせたり、怖い顔、厳しい顔にしたのだという説があります。

 今では、実際にクルミを割ることに使用することはほとんどありません。
 ザイフェンには、数多くの工房がありますが,この「くるみ割り人形の父」といわれているのは、ヴィルヘルム・フュヒトナーという人で、この工房の作品は、古いものの良さをとりいれた味わいのあるものです。


 くるみ割り人形と並んで有名なのが、ピラミッドとパイプ人形です。パイプ人形は、胴体が半分に割れて取り外しが出来、その中にお香をいれるお皿があり、火をつけると、口にくわえたパイプの先から煙がモクモクとでてくる面白いものです。

 このザイフェンを特徴づけるのは、ろくろの技術でした。採石に使われていた水車の動力を利用して、ろくろを回し、ドーナツ型に木を型作り、薄く輪切りカットしていくと、丁度、金太郎飴の要領で同じものを一度に大量に作ることが可能です。それを利用して、動物達を大量に同じ形で作っています。数多くの動物達を集めて方舟に入れた「ノアの方舟」が有名です。
 
 
ザイフェン

 ドイツの東の方にある、小さな村、ザイフェン。

 その村の可愛い教会の近くに住むフュヒトゥナー一家。現在6世代目になります。ここが、現在私達のしる「くるみ割り人形」の誕生した場所なのです。

 祖先は木工業に従事していましたが、冬の間は仕事がありませんでした。そこで、彼等はふんだんにある木を使い、小さな人形を作り始めました。1786年、ゴッテルフ・フリードリッヒ・フュヒトナーは最初の人形をドレスデンの市場で売りました。

 ヴィルヘルム・フリードリッヒ・フュヒトナー(1844−1923)は1870年ごろに最初のくるみ割り人形を作り上げました。彼が「くるみ割り人形の父」として世界中に知られている人物です。現在に至るまで6世代にわたってフュヒトナーファミリーの伝統が受け継がれています。

 

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