日本看護研究学会雑誌
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剃毛用ブラシの細菌学的検討
花田 久美子小山田 恵葛西 敦子木村 紀美米内山 千賀子福島 松郎
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1995 年 18 巻 1 号 p. 1_63-1_72

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抄録

 剃毛は,術前処置として一般的に行なわれている処置である。本研究では,病棟において使用中の剃毛用ブラシと新品のブラシを細菌学的に検討した。
 検体は血液寒天培地に塗抹培養し,同定した。
 以上の実験により,次のような結果を得た。
 1. 病棟で使用中の剃毛用ブラシの85.2%から,細菌が検出された。湿潤状態の細菌検出率が乾燥状態のものに比べ,有意に高かった。
 2. 検出された菌種は,S. aureus,その他のブドウ球菌,Bacillus属,Acinetobacter属,P. aeruginosaと,P. aeruginosa以外のブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌,E. coli,およびE. coli以外の腸内細菌であった。
 3. 新品の剃毛用ブラシの場合検出された細菌はほとんどなかったが,使用日数および使用回数が増すと検出細菌数は有意に増加した。
 4. 消毒直後の検出細菌数は消毒前に比べ,有意に減少していた。しかし,乾燥後では再び増加していた。
 5. 病棟で使われたブラシで石鹸を塗った皮表からは,実験前の皮表および新品のブラシを使用した場合に比較し,有意な細菌数の増加があった。

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© 1995 一般社団法人 日本看護研究学会
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