「ウナギ少女」炎上の志布志市がまた騒動…でも謝罪文が悪くなかった (3/3ページ)

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◆役所の「横並び体質」 最たるものが返礼品競争

 それにしても、こうした件が自治体広報で相次ぐのは「横並び体質」にある。自治体の広報を手伝う人物から聞いたのだが、とにかく役所は「先例主義」のため、他の自治体の成功例をなぞることを考えるそうだ。宮崎県小林市の「フランス人が九州弁で観光案内をする動画」や大分県別府市の「湯~園地」計画、佐賀県の『恋するフォーチュンクッキー』を職員が踊る、などもそうだ。

 何かメディアから注目を浴びるような企画が出てくると広告代理店を呼びつけて「ウオッホン! 我が市も『ああいうこと』やりたいんだよね!」と言うと代理店は「成功ケーススタディを集めてきて、それを○○市さんのUSP(独自のウリ・強み)を活用した形でカスタマイズされた動画企画をお持ちします!」なんてことを言い、「ウヒヒ、これで動画の受注GET!」と思うのである。こうした役所の横並び体質の最たるものが過熱するふるさと納税の返礼品であり、死屍累々となったゆるキャラの過剰供給なのである。

 とにかく今回の件は志布志市がソッコー認めたことと、やってることが妙に健気というか、社畜の鏡といった解釈もできるわけで、若干シンパシーを感じられた点が謝罪道的には「アリ」だったのだろう。

【プロフィル】中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

ニッポンの謝罪道】はネットニュース編集者の中川淳一郎さんが、話題を呼んだ謝罪会見や企業の謝罪文などを「日本の謝罪道」に基づき評論するコラムです。更新は隔週水曜日。