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マッサンクランクイン・リポート 噴煙あげる蒸気機関車にウィスキーづくりの夢をのせて。ついに「マッサン」が走り出した!

連続テレビ小説『マッサン』のクランクインは5月初旬。 主役夫婦である、マッサン役の玉山鉄二さんとエリー役のシャーロット・ケイト・フォックスさん、そしてマッサンの妹・すみれ役を演じる早見あかりさんを迎えて、ついに ドラマ撮影が動き出しました。 ドラマの時代設定は、大正9(1920)年。約50日にもわたるスコットランドからの長旅を経て、マッサンの生まれ故郷・広島にマッサン&エリーがたどりつくところから、 物語は始まります。

その記念すべきシーンの撮影地となったのは、静岡県の大井川鐵道のホーム。電車の運行の合間をぬい緊張感みなぎる中で、今も現役で活躍する昭和初期からの貴重なSLをお借りして撮影が行われました。現役の駅舎とSLに美術スタッフが時代感を出す装飾を施し、衣装を身にまとった役者陣が行き交う現場は、大正時代の風情たっぷり。空高く響く汽笛、煙突から吐き出される石炭の匂いに、臨場感もいっそう増します。 さて、ここから歩み出すふたりには、どんな苦難と喜びが待ち受けているのでしょうか?

マッサン&エリーの愛と冒険のドラマが、いよいよ走り出しました……!

大井川鐵道をシーン撮影に選んだのは、機関車だけでなく客車までもが古い年代のものであるという理由から

野田チーフ演出とキャストの間で綿密な打合せを重ね、テスト撮影をして本番へ

大井川鐵道にある現役の駅舎を、広島の三原駅に見立てて飾り替え。この駅表札は美術スタッフによるもの

若いふたりの冒険劇と、エリーの笑顔を届けたい。長い長い船旅で横浜港に着き、SLに乗って広島へとやってきた、マッサン&エリーの第一歩。若いふたりが歩み出す、ある種のアドベンチャー感覚も大事にしたいと思って演出しました。渡航が大変だったこの時代に、 スコットランドから日本へ渡ろうと決めた外国人のポジティブなエネルギーがにじみ出ていればいいですね。 撮影プランにおいて大切にしたのは、何といってもエリーの笑顔。彼女のチャーミングでキュートな笑顔は、きっとお茶の間のみなさんに好かれると信じています。チーフ演出 野田雄介

クランクインしたばかりの、マッサン&エリーに聞きました。

僕らが目指すのは、「弱点をいっぱい見せる夫婦」です。

玉山:本物のSLの前でお芝居ができて、本物だからこその臨場感やその時代感とか、いろんな物質的なリアルさを感じながらマッサンを演じることができたんじゃないかと思います。僕はクランクインってすごく大事だと思っていて、入り口がよくないと結構引きずっちゃうタイプなんですけど(苦笑)。今日は天気もよかったし、活気にあふれる現場で、僕としてはすごくハッピーな一日でした。 シャーロット:SLを見たのは、私も初めて!【日本語で】カッコイイ! 玉山:うん、僕もすごく感動した。ここまで間近に見るのは初めてですね。

シャーロット:汽笛の大きさに驚いて、まるで子供みたいに「きゃっ!」って大声をあげちゃいました(笑)。玉山:(笑)。それにしても、日本でのドラマ撮影に初挑戦をするシャーロットは、コップから気持ちがあふれそうになるくらい大変なんだろうなと思うけれど、もうすっかり頭にセリフが入っているのがすごいなと思って。逆に、僕がおしりをたたかれているような気分です(笑)。彼女からいい影響を受けてますね。

シャーロット:そんなことないです(笑)。私は今日まで、何千回と台本を読んで、エリーさんはどういう人なのかを頭の中で作ってきました。でも実際は、共演者の方と一緒にお芝居する中で、初めて生まれてくるものだと思います。台本の中の登場人物がついに命を持ち、今日、エリーとして生まれる瞬間を体感しました。マッサンはエリーがこれまでスコットランドで接してきた人とはまったく違うタイプの人間だと思うし、そんな彼への愛情をしっかり感じた気がします。マッサンへの安心感、彼に愛されていることを実感して、ここからふたりで一緒に新しい人生に挑戦していくんだという感覚が芽生えました。

玉山:マッサンは決して天才ではないし、器も小さくて、ある意味『男はつらいよ』の寅さんのように愛きょうのあるキャラクター。純粋で夢がでっかくて、脇が甘くてすぐにヘコむけども、立ち直りも異常に早い。そんなキャラクターにしたいなと思っています。きっとこの夫婦は、時には敵がいたり味方がいたり、いろんな壁にぶち当たっていくんだと思うけど、僕たちらしい健気さとかわいげのあるキュートな夫婦の姿をお届けできれば……というのが一番の願いですね。

シャーロット:私はエリーを演じようとしなくても、日本というこの環境でお芝居するだけで、エリーになるためのすべてが整っているんです。周りを見て、感じて、自分の中に吸収して、エリーを育てていきたいなと思います。玉山:僕もエリーも、弱点をいっぱい見せていきたいですね。今までの“朝ドラ”のヒーロー・ヒロイン像とは違うかもしれないけれど、その弱点が笑いになればいいし、涙になればいい。不器用で遠回りな生き方をする夫婦を、愛おしいと思ってもらえればいいなと思います。

ふたりの自然な姿に、マッサン&エリーを見ました!ふたりの姿を近くで見ていて感じたのは、ドラマの中のマッサン&エリーに、実際の玉山さん&シャーロットさんというふたりが、ものすごく近いなということ。シャーロットさんはものすごくがんばって 日本語を覚えようとしていて、一生懸命まわりに伝えようとする姿が本当に健気(けなげ)だし、そんなシャーロットさんが笑顔になるように玉山さんがあの手この手で笑わせようとしていたり(笑)。 マッサンとエリーの関係にそっくりだな、とほほえましく見ていました。私が演じるすみれは、若さもあって興味津々で、そんなふたりを素直に応援したいと思う女の子。ふたりのために、橋渡し的な存在になれればいいなと思っています。亀山すみれ役 早見あかりさん

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