マイケル・オブ・ケント王子(prince michael of kent)、エリザベス女王(queen elizabeth)
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マイケル・オブ・ケント王子(Prince Michael of Kent)、エリザベス女王(Queen Elizabeth)

エリザベス女王の従弟のマイケル・オブ・ケント王子に関する疑惑が浮上したのは先週末。新聞「サンデータイムズ」に掲載された記事がきっかけだった。同紙の記者はテレビ局「チャンネル4」と合同で取材、韓国の金投資会社の代表だと名乗って王子に接触した。

記者は王子とZoomを使ってミーティングを持ち、利益拡大のためにロシア政府に自分たちを紹介してくれる人を探していると持ちかけた。すると王子は「あなた方のロシアでの事業を手助けできることにとても興奮している」「1日14万ドル(約150万円)で自分を雇える」と返したという。つまり最低14万ドルを払えばロシア国内での事業が有利に運べるよう政府に口利きをしてくれるということ。王子は自分と政府との親密さを示すために自分がロシアで最も権威ある勲章の1つ「友好勲章」を受勲していることにも触れ、政府と自分との関係は「あなた方に利益をもたらしうる」とも記者に語っている。

また記事によると王子は報酬を支払えばこの金投資会社を「王室として推薦するコメントを撮影する」とも持ちかけた。王子が提示した額は20万ドル(約2,100万円)。ケンジントン宮殿にある自分の家で撮影することも提案していたという。

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娘のレディ・ガブリエラ・ウィンザーの結婚式で。マイケル・オブ・ケント夫人マリー=クリスティーヌ(Princess Michael of Kent Marie-Christine)、マイケル・オブ・ケント王子(Prince Michael of Kent)

このミーティングには王子の親しい友人でビジネスパートナーでもあるレディング侯爵サイモン・アイザックも同席していた。レディング侯爵は王子がこの会社がロシア政府への「ドアを開ける」手助けをする準備ができていると発言。回りくどい言い方をしていることについて「我々は婉曲に表現している。なぜなら純粋にビジネス目的で王子がプーチン大統領に会っていることを世界に知られたくないからだ」。

この疑惑報道に対して王子のスポークスパーソンが声明を発表した。テレビ局「CNN」によると「王子はプーチン大統領と特別な関係は持っていない。2人が最後に会ったのは2003年で、それ以来接触していない」「レディング侯爵はいい友達である。しかし彼の提案は王子が実現したいと思うものでも実現できるものでもない」と説明している。

banquet at london's guildhall during the state visit of president putin
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2003年のロシア訪問時。右端がマイケル・オブ・ケント王子。左から3人目がウラジミール・プーチン大統領。左端はマイケル・オブ・ケント夫人マリー=クリスティーヌ。

王子はミーティングで「私は広範囲にわたってロシアを訪ねている。理由は色々あるがその多くはビジネスだ」と発言。王子のウェブサイトによるとロシア語も堪能で英露商工会議所(RBCC)のパトロンも務めている。またロシアの慈善団体や芸術団体、人道活動組織に関わっているとも。

ちなみに王子はトゥルーピング・ザ・カラーを始め王室の行事に参加、エリザベス女王の代理として公の場所に出席することもあるが王室助成金はもらっていない。雑誌『ピープル』によるとビジネスコンサルタントとしての仕事で収入を得ているという。とはいえ、今回の王子の肩書きを利用した疑惑に批判の声が上がっているのは確か。この声明で事態が収まるのか注目したい。