川辺川ダム問題 住民が心配する緊急放流 熊本県知事「市房ダム改良」表明に波紋

熊本県が放水口改良の検討を始めた市房ダム。緊急放流を回避しやすくするのが狙い=熊本県水上村で2020年11月4日午後2時6分、吉川雄策撮影
熊本県が放水口改良の検討を始めた市房ダム。緊急放流を回避しやすくするのが狙い=熊本県水上村で2020年11月4日午後2時6分、吉川雄策撮影

 7月の九州豪雨で氾濫した球磨川の治水対策として浮上している川辺川ダム建設に反対や慎重意見の住民が口にするのが、一般に「緊急放流」と呼ばれる「異常洪水時防災操作」によって川の水位が急上昇することへの恐怖だ。今回の豪雨でも球磨川上流の市房ダムが緊急放流の寸前まで追い込まれた。熊本県の蒲島郁夫知事はここにきて突然、市房ダムの緊急放流を回避できるようにダム本体の改良を検討する考えを示したが、反対住民からは川辺川ダム建設の布石と受け止められている。

 「ダムへの不信感は消えていない。市房ダムは緊急放流する可能性があった。雨の状況次第では犠牲者はさらに増えたと思われる」。蒲島知事が球磨川の治水対策について住民から直接意見を聞くため10月から続けている意見聴取会。11月3日に人吉市であった会で、市内の旅館・ホテル9軒でつくる「人吉温泉旅館組合」の堀尾謙次朗組合長が語気を強めた。

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