ソフトバンクの現状だけ考えれば…「プラスでしかない」開幕延期

西日本スポーツ 石田 泰隆

 ◆タカ番記者コラム「好球筆打」

 一体、どうなってしまうのだろう。今年のプロ野球だ。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、9日に今シーズンの開幕延期が決定。明日12日の12球団代表者会議で日程の再編が協議される。

 誰もが一日も早い終息を願う。その上で、やはりプレーヤーにしてみれば、一日でも早くシーズン開幕を迎えたいのが本音だろう。王球団会長ですら「早く(日程が)決まってくれるといいね」と口にしていた。

 しかしながら、無事にシーズン開幕を迎えられたとしても、不安は常につきまとう。選手、あるいはチーム関係者から感染者が出た場合は、きっと「シーズン中断」といった措置を取らざるを得なくなるだろう。開幕前に感染者が出ないとも限らない。見えない敵との闘いは、あらゆる面で負担を強いられることになりそうだ。

 ただ、視点を変えると、今回の開幕延期は故障者を多く抱えるホークスに限っていえば「プラス」でしかない。打者でいえば内川、柳田、上林。ともにファームで順調な調整を続けており、本来開幕予定だった20日の前に1軍合流予定だったが、さらなる時間的“猶予”ができたことで、万全に仕上げられる。

 投手陣では懸命にリハビリに励む千賀、高橋礼の先発2本柱が、予定通りに開幕していた場合に比べて調整期間を“延長”することができた。ともに実戦復帰のめどは立ってないが、開幕延期で試合の消化率も変わってくる。より強固な先発陣を形成するには延期がプラスに働く。森ヘッドコーチも複雑な思いを抱えながらも前向きに受け止めている。

 「ファンあってのプロ野球。そこを思うと開幕を楽しみにしていたファンには申し訳ないという思いしかないが、いまのチーム状況を考えると、不謹慎に聞こえるかもしれないが、開幕延期はプラスでしかない。本来の形で戦える試合が増えるわけだからね」

 東京五輪米大陸予選に出場するためチームを離れたデスパイネグラシアルモイネロの「キューバ代表組」も、開幕延期で不在の影響を最小限にとどめられる可能性が出てきた。20日開幕に照準を合わせてきた選手には気の毒だが、チームとしては「プラス」かもしれない。 (石田泰隆)

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