ふるさと納税の経費ルール見直し 熟成肉と精米…返礼品の基準も変更

鈴木友里子
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 総務省は27日、ふるさと納税について、寄付額の5割までとしている経費に、寄付金の受領証の発行費用などを加えると発表した。あわせて返礼品として認める地場産品の基準も見直す。寄付総額が増えるにつれ、これまで経費に含めていなかった費用もかさみ、実質的な経費が5割を超える事態も表面化してきたことから制度を改めた。

 ふるさと納税は、自治体に寄付した金額のうち、2千円を超えた分が翌年の住民税や所得税から控除される。寄付者には返礼品が贈られ、実質的に2千円で高価な特産品などをもらえる。2021年度の寄付総額は過去最高の8302億円に上る。

 総務省は、返礼品の調達にかかる費用の割合を寄付額の3割以下、送料や事務費なども含んだ経費の総額を5割以下とするルールを定めている。少なくとも半分以上は寄付を受けた自治体のために活用されるべきだとの考え方に基づくものだ。

 ところが、5割ルールの対象とする経費のほかにも、総務省が把握していない費用が膨らんでいることが明らかになった。寄付金の受領証の発行や送付、住民税の控除に必要な情報の自治体間での共有にかかる費用など、主に寄付を受け取った後にかかる経費だ。このため、総務省は今回、こうした「隠れ経費」も対象に含め、報告を求めることにした。

 21年度の全自治体の経費率は、46・4%と既に高水準だ。隠れ経費を含めると、5割を超える自治体があることも明らかになっている。

 総務省はあわせて、返礼品として認める地場産品の基準も見直した。加工や製造の主要部分を自治体内で行っていれば原則として認めるが、「熟成肉」と「精米」については、原材料についても同一の都道府県内産であることを求める。いずれも、「付加価値のある加工」がされたか見極めにくいためだという。

 こうした変更を受け、各自治体は今後、経費や返礼品の中身、総額を見直すことになる。経費を圧縮できなければ同じ返礼品を受け取るのに必要な寄付額が増える可能性もある。

 松本剛明総務相は27日の記者会見で、「今回の改正によって、ふるさと納税本来の趣旨に沿った運用がより適正に行われるものと考えている」と述べた。鈴木友里子

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