朝日新聞と、宝島社の女性誌「GLOW」による「Aging Gracefully」(エイジング グレイスフリー)プロジェクトは、6年目の2023年度アンバサダーとして観月ありささん(46)を迎えました。観月さんは俳優や歌手として10代の頃から活躍。連続テレビドラマで30年連続主演という記録を持ち、近年は舞台にも力を入れています。

拡大する写真・図版撮影・品田裕美

 40代に入り、自分のペースで仕事ができるようになったという観月さん。「時間を自分で作りやすくなったことが大きいですね。以前はとにかくガーッと働いてきたんですけど、今はすごく自由に、自然なスタンスでとても楽しくお仕事をさせてもらっています」と話す。

 「あーさーくーらー!」「せーんぱーい」の掛け合いが印象的なテレビドラマ「ナースのお仕事」シリーズのコミカルな役どころは、観月さんの代表作の一つ。「鬼嫁日記」シリーズのように強くてパワフルな女性を演じることも多かった。

 30代で舞台や時代劇に挑戦し、座長公演も務めたことが、俳優としての転機に。自分自身を多面的、客観的に見られるようになり、演技の幅も広がってバランスが取れてきたと分析する。

「人生100年時代」が近づく中、50歳はちょうど中間地点です。変わるカラダ、働き方、家族との関係……。朝日新聞と、宝島社の女性誌「GLOW」の共同プロジェクト「Aging Gracefully」(エイジング グレイスフリー)は、家庭や職場、地域で大事な役割を担うミドルエイジの女性たちの「いま」と「これから」を見つめ、自分らしく年齢を重ねていくことを応援します。

 「10代や20代の頃は経験が少なく、求められていることが自分にできるのかという恐怖心が強かった気がします。今は何を求められても対応できると思えるし、もっと新しいことにチャレンジしたい。今の自分のメンタルで10代、20代の頃に戻ったら、もっと自由にやれたんじゃないか、と思うこともあります。ただ、求められるものにいかに近づけていけるか、目の前にあるものをがむしゃらにクリアしていくことは、ずっと変わらないですね」

 自分が今できることに向かって懸命に、体当たりで挑む。その姿勢の背景には、「今を大切に生きる」という思いがある。

 「最近は『人生100年時代』と言われて将来のことを考えがちですけど、極端に言ったら明日何があるかわからないじゃないですか。今が良くなければ未来もないと思うので、楽しい未来を送るためにも今を大切にしないといけないな、と思っています」

拡大する写真・図版撮影・品田裕美

 観月さんは今年度、40代、50代の女性たちの生き方を応援するAging Gracefullyプロジェクトのアンバサダーに就任した。この世代の女性は子育てや介護、仕事の重責、体の変化などでさまざまな課題に直面することが多いもの。観月さん自身、以前はダイエットや運動で厳しく自己管理をしていたが、年齢とともに変わってきた。

 「40代になると女性ホルモンのバランスとかいろいろあって、気持ちがふさぐときもある。うまく自分の心や体と向き合いながら、10代、20代、30代よりも繊細に、自分と向き合っていかなくちゃと思っています。昔は結構過酷なダイエットをしていましたけど、最近は健康重視になりました。食べたいものを食べてお酒も飲んで、効率良く適度に運動しています」

 一昨年は歌手デビュー30周年を迎え、若い頃の映像やインタビューの内容を振り返る機会が多かった。その過程で、昔の自分に背中を押されるような感覚を味わい、今を大切に、という思いも再確認した。

 「年は誰でもみんな平等にとるので、体力が落ちるとか、いろんなことがあると思いますけど、ネガティブに考えるのは嫌だな、と。今の自分の気持ちや体力と向き合い、自分が幸せだと思える時間をいかに持てるか。固定観念や自分の殻を取っ払って、いろんな悩みがあっても吹き飛ばせるような楽しい時間を持つことが、生活を豊かにすることなのかな、と感じています」

 今後は俳優や歌手としての活動だけでなく、舞台の演出をしたり、誰かをプロデュースしたりする作り手側にも関心を持っている。

 「何歳になってもいろんなものを見て感動すること、自分で経験して得られるものが大事。何か新しいことにチャレンジするのは大好きですし、プライベートもお仕事も、まだ見ぬ面白い何かがあるんじゃないか、というワクワク感を持って、これからも挑んでいきたいですね」(坂本真子)

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 観月ありさ(みづき・ありさ)さん

 俳優・歌手。1976年12月5日生まれ、東京都出身。4歳から子役モデルとして活躍。91年に「伝説の少女」で歌手デビューし、日本レコード大賞新人賞を受賞。92年の「放課後」で連続テレビドラマ初主演以降、30年連続主演記録を樹立。代表作に「ナースのお仕事」シリーズ、「鬼嫁日記」シリーズなど。