節分の日の高円寺家には悩みがあった。
毎年その日、ママが片端から「ちょっとでも鬼に見えるもの」に豆をぶつけるからだ。

「赤い体に一本のツノ、間違いない……赤鬼だわ」
ママがいきなり現れ、豆をまきはじめた。
今年の被害者はカブタックだ。
「痛いカブ！ ママさん、僕カブよ、カブタックカブよ」
「えっ？ あらホント。もう紛らわしいカッコしないでよ！」

譲が説明する。
「ママは昔一緒に住んでいたママのおじいちゃんの教育方針でああなっちゃったんだ」
その脇で、ママは今度は宅配便の兄ちゃんに豆をぶつけている。
「また今年も近所からクレームがくるよ…」
トホホな譲。
「そうカブ！」カブタックが閃いた。

家の中、鬼の面をつけたカブタックと譲が、そっとママに近寄る。
ママは豆まきも一段落で、洗い物なんかしている。
カブタックの作戦は…、
「まず、僕が鬼になってママさんに襲いかかるカブ。するとママさんがビックリして怖がるから、鬼の面をつけた譲が現れ、ママさんを救うカブ。するとママさんは鬼の中にも良い鬼がいることを知り、もう闇雲に豆をぶつけなくなるカブ」
「そんなにうまくいくかなぁ？」
半信半疑の譲。でも作戦開始。

「ガオーッ! 鬼カブー！」
カブタックがママに襲い掛かった。
が、ママはすかさずマシンガンで「鬼は外！」「鬼は外！」
蜂の巣にされたカブタック、
「譲！ 作戦は失敗カブ」
と、そこにスターピースが飛来し、カブタックのつけている鬼の面に取付いた。
すると、譲の表情が変わった。
譲は拳銃を取りだしカブタックに撃ち出した。弾丸は豆。「鬼は外！」

「どうなってるカブー！」
カブタックは譲に追い回され、高円寺家から逃げ出した。
が、街で出会うダンゴロンやゲロタン、クワジーロやテントリーナまで豆をカブタックにぶつけはじめる。
そうして、どんどんカブタックを追いかけるメンバーが増えてきて…。
「一体、どうなってるカブ?! 誰か助けてカブー！」