ハワイ山火事の死者96人に 送電線切断、対応検証へ
【カフルイ(マウイ島)=共同】米ハワイ・マウイ島の山火事で、マウイ郡当局は13日、計96人の死亡が確認されたと発表した。事前に強風が見込まれていたが、地元電力会社は危険回避措置として計画停電に踏み切らなかった。一部には切れた送電線が出火原因と疑う声もあり、司法当局は関係機関の対応を検証する方針だ。
警察の12日の発表では、壊滅的被害を受けた島西部ラハイナで捜索を終えた範囲は全体の3%程度。捜索が進むにつれて死者がさらに増える恐れがある。
ワシントン・ポスト紙によると、強風時の送電線切断に備えた計画停電は、山火事が多発する西部のカリフォルニア州やオレゴン州などで電力会社が採り入れている。
ハワイ州の電力会社も有効性を認識していたが、計画停電を行えば消防隊の消火活動に支障が出るほか、医療用機器を使用する患者への対応も必要となるため即応的な導入には後ろ向きで、今回も実施しなかった。
マウイ島は強風に見舞われ、山火事が起きた8日前後には電柱約30本が倒された。地面に落ちた送電線には通電していたものもあったという。
12日にはこうした送電線が山火事につながったとして複数の法律事務所が電力会社側を相手取り集団訴訟に踏み切った。ただ現時点で詳しい出火原因は分かっていない。
ハワイ州のロペス司法長官は「山火事の発生前後における意思決定と政策の包括的な検証を実施する」と発表、結果を公表する考えを示した。