FBI、ロシア・カタールW杯も捜査対象に
【ニューヨーク=高橋里奈】国際サッカー連盟(FIFA)の汚職事件で、米連邦捜査局(FBI)が2018年のワールドカップ(W杯)ロシア大会、22年のカタール大会を捜査対象にしていることが明らかになった。捜査対象を広げ、辞意を表明したブラッターFIFA会長の立件を目指しているとみられる。
ロイター通信に対し、米捜査当局者が「FIFA幹部らを起訴した先週の動きをさらに前に進める捜査のひとつだ」と述べた。FBIはカタール招致委員会からアフリカのFIFA幹部に渡った金の流れに関心を寄せているもようだ。
米司法省は10年のW杯南アフリカ大会の開催地の選定過程で贈収賄があったと発表済みだが、18年と22年の大会については言及していなかった。両大会については、スイス当局がFIFA本部を家宅捜索して電子データや文書などを押収し、捜査を始めた。捜査権限の大きい米当局がスイス側と連携すれば、捜査が前進する可能性がある。ロシアとカタールはともに不正を否定している。
以前から不正疑惑のあった18、22年の大会については、FIFAの倫理委員会が14年に「開催地決定は妥当」とする調査結果を発表した。だが、調査責任者が報告書の大幅な修正に不満を示して辞任するなど不透明さを露呈していた。22年の開催地には日本も立候補していた。
一方、FIFAのチャック・ブレイザー元理事が1998年と10年のW杯の開催地選定にあたり、賄賂の受け取りを認めたことも分かった。
ニューヨーク連邦地検による13年の証言資料で、米国人のブレイザー元理事は「開催地選定にあたり、賄賂を受け取ることで他の幹部と合意した」などと認めた。米英メディアが3日に伝えた。また96年から03年までの間に5回開かれた北中米カリブ海選手権(ゴールドカップ)についても、放映権や商業上の権利にからむ賄賂を他の幹部とともに受け取ったという。
ブレイザー氏は97年から13年までFIFAの理事を務めた。脱税や資金洗浄の疑いで米当局に訴追されたが、米メディアによるとFIFAの汚職事件に関する情報提供者に転じたとされる。