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社説

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みずほ障害 あまりにお粗末すぎる(3月31日)

 東日本大震災で混乱する中でのトラブルである。メガバンクとしてあまりにお粗末だ。

 みずほ銀行が大規模なシステム障害を起こした。

 全国の現金自動預払機(ATM)が停止し116万件、総額8千億円を超す振り込みの遅れや給与の入出金ができなくなった。インターネットを使った取引も一時滞った。

 決済処理機能は回復しているが、過去の入出金明細が確認できないなどいまも一部で支障が続いている。

 金融庁は近く立ち入り検査し業務改善命令を出す方針だ。行政処分を待つまでもなく、経営陣は今回の事態を重く受け止め再発防止に全力で取り組まねばならない。

 ATMの不具合は震災後の15日から22日まで続いた。みずほ側は原因について、震災義援金の振り込みが一部店舗に集中し処理能力を大きく超えたと説明している。

 トラブルは全国に広がり、とりわけ急場の資金が必要な東北地方の被災地では現金が引き出せないなど深刻な影響が出た。

 震災義援金の入金が遅れ差出人が不明になるケースも相次いだ。せっかくの善意を踏みにじるに等しい。

 金融業務の根幹である決済機能を停滞させた社会的責任は重い。

 震災義援金の受け入れはみずほ以外でも行われているが、こうした問題は起こっていない。

 一部支店でのトラブルがなぜシステム全体の機能不全に波及したのか。みずほは外部の専門家を含む調査チームを立ち上げるとしているが、徹底的に原因を検証すべきだ。

 忘れてならないのは今回と同様のトラブルが2002年の統合時にも起こっていることだ。

 みずほ銀は第一勧業、富士、日本興業の旧3行が統合して誕生した。それぞれ異なるメーカーのシステムを採用したまま統合したため業務が混乱し、営業開始後に公共料金の二重引き落としなどが発覚した。

 修復まで約1カ月かかり、当時の経営トップは引責辞任し金融庁の行政処分を受けた。

 異なるシステムを併用する問題点は統合当時から指摘されていた。現在も複雑に絡み合って使われているという。02年の教訓が生かされたとは到底いえない。

 システム全体に構造上の問題があると見るべきだ。それを放置していた経営陣の責任も免れまい。

 今回は応急措置にとどまらずシステムを抜本的に見直すべきだろう。

 金融庁は02年に緊急検査を行い、業務に支障はないとのお墨付きを与えていた。非常時の中で再発を防げなかった金融庁の監督責任が厳しく問われるのも当然である。

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