後半戦4戦4勝 千賀、快投の裏に試合直前の「ひと工夫」

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆西武0-9ソフトバンク(8日、メットライフドーム)

 チームの苦境でこそ、エースは本領を発揮する。自力優勝消滅から一夜明け、千賀が7回を4安打無失点、無四球で後半戦無傷の4連勝を飾った。今季初の中5日での登板ながら「0」を並べた。「楽すぎる展開をつくってくれた野手の人が全て」と謙遜したものの、またもチームを救った。

 後半戦の4勝は、いずれもチームを踏みとどまらせる白星だ。千賀の登板日直前の試合結果は敗戦2試合、引き分け2試合。自らの投球で流れを変えている。4試合で計27回を投げて2失点。防御率0・67と圧巻の数字を残すが、エースの真価は数字に表れない部分にもある。「僕の中では先に点をやらないことだけを考えている」。その言葉通り、全4試合で先制点を許していない。

 2点を先制してもらった初回は2安打されても動じなかった。岸を遊ゴロ併殺に打ち取り、中村はフォークで空振り三振。その後も最速158キロの直球に多彩な変化球を交え、凡打の山を築かせた。結局、6回1死まで14人連続して出塁を許さなかった。

 試合前の「一工夫」を好投につなげた。ブルペンでプレートから1メートルほど捕手に近づいた場所で投球を重ねた。「投げづらさはやっぱりあったので、ここ(メットライフ)用の(調整)を持っておけばいいのかな」。この球場で前回登板した8月25日は7回無失点で今季3勝目を挙げたが、他球場より低く感じるというマウンドに苦しんで6四球。自らのアイデアで克服し、修正力の高さを示した。

 2回は7球で終わらせるなど、無駄球を省いて7回を91球。西武打線を沈黙させたテンポの良い投球は攻撃陣にも好影響を与えた。

 けがで前半戦は2試合の登板にとどまり、巻き返しを誓う右腕が漂わせた「エースの風格」に、工藤監督も「もう頼もしくて。千賀が投げればイコール勝ちと。きょうは、どしっと何もしなくていいと思った」と最敬礼だ。「きょうのような投球を続けていかないといけない」。千賀は期待に応え続けていくつもりだ。(長浜幸治)

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