JR東海社長に柘植副社長 葛西氏は名誉会長に
東海旅客鉄道(JR東海)は16日、柘植康英副社長(60)が2014年4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。山田佳臣社長(64)は代表権のある会長に、葛西敬之会長(73)は代表権を持つ名誉会長にそれぞれ就く。27年開業を目指すリニア中央新幹線の着工や高速鉄道システムの海外展開などで事業領域が広がるなか、3人の首脳が業務を分担する"トロイカ体制"を採る。
同日、名古屋市内で会見した柘植氏は「リニア中央新幹線などの経営課題を着実に実現し、世界最先端の鉄道を支える技術に磨きをかけていく」と抱負を述べた。
柘植氏は人事畑が長く、民営化後は人事・賃金制度の見直しに関わった。08年以降は副社長として経営合理化などに手腕を発揮し、社長候補の筆頭と目されていた。14年に開業50周年を迎える東海道新幹線の収益性維持や輸送力増強、懸案である老朽化対策などに取り組む。
14年4月以降の新体制では、旧国鉄改革を主導したひとりで実力者の葛西氏が名誉会長ながら代表取締役にとどまる。葛西氏は海外展開に強い意欲を示している。ワシントンとボストンを結ぶ米国の高速鉄道整備計画に超電導リニアの技術供与を提案したほか、東海道新幹線で培った高速鉄道システムの国際標準化などを目指す。
社長在任4年の山田氏は超電導リニアモーターカー技術による中央新幹線の整備計画を推進。品川―名古屋間の詳細なルートや駅を今年9月に決め、来年度の着工に道筋を付けた。ただ、名古屋―大阪間のルート策定や9兆円とされる総工費の手当てなど課題を抱えるなか、引き続き会長として計画の実行役を担う。
山田会長―柘植社長の体制を経験豊富な葛西氏が支える格好。1987年の旧国鉄分割・民営化から四半世紀が過ぎたJR東海の成長戦略は、トロイカが機能するかどうかにかかっていそうだ。