完了しました
東京五輪の聖火リレーは14日、山口県の宇部、山陽小野田、美祢、長門、萩の5市を74人がつなぎ、同県内での日程を終えた。下関市は中止された。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、同県では1日目は点火式のみの実施となったが、この日のランナーたちはそれぞれの思いを込めて走った。聖火は15日から島根県を巡る。
「聖火は見えないが、温かさ伝わった」
県内のリレーのゴール地点・萩中央公園(萩市)で行われたセレブレーション(聖火到着式)では、下関市出身の盲目のギタリスト・田川ヒロアキさんが東京五輪・パラリンピックのウェルカムソングとして自ら作詞・作曲した「Sky(スカイ)」などを演奏し、式典に花を添えた。
先天性の視覚障害があり、ギター演奏を見たことがなかったことから、ギターのネックを上から押さえる独自の演奏法を確立。東京を拠点にコンサートや楽曲制作、講演会活動などに取り組んでおり、2011年に県をPRする「山口ふるさと大使」、今月12日に下関市の「しものせき海響大使」に任命された。
「大空 見上げて 心の叫びを描けば 降る雨 吹く風 夜明けが 塗り替えてく」
Skyは2019年、クラウドファンディングで寄せられた資金を活用し、米国でレコーディングした。現地で妻の美瑞穂さんが発した「果てしなく空が広い」という言葉から、スローテンポな曲調に、世界中でつながる空と明日への希望をイメージした歌詞を紡いだ。
20年来の付き合いがある下関市のよさこい団体らと一緒にステージ上で披露すると、観客から大きな拍手が送られた。「聖火は見えないけれど、皆さんの拍手から感動と温かさが伝わってきた。一生に一度しかない機会に自分らしい演奏ができた」。大役を終えた田川さんは満足げに話していた。