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見事だった大栄翔に比べ「武士道」貴景勝にはガッカリ…「足首の痛み」休場の常とう手段にだまされません【北の富士コラム】

2021年1月20日 05時00分

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北勝富士(右)を攻める大栄翔

北勝富士(右)を攻める大栄翔

◇19日 大相撲初場所10日目(両国国技館)
 大栄翔は昨日の敗戦を引きずることなく、高校の先輩にあたる北勝富士を万全の相撲で圧倒し、1敗を堅持した。体もよく動いていたので、プレッシャーを感じさせない見事な一番であった。また一歩、確実に優勝に近づいたと言える。
 朝乃山も実力者、玉鷲をガッチリと組み止め3敗を守り、勝ち越しまであと1勝と迫った。ただ一人2敗で追う正代は苦戦した。遠藤に食い下がられて絶体絶命まで攻め込まれたが、必死に右からすくい投げでやっとのことで逆転した。軍配は正代に上がったが、物言いがつき、わずかに遠藤の足が先に出ていたと見なされ、軍配通り正代の勝ちとなった。
 だが相撲内容では終始、遠藤のペースでうまく取られてしまった。良く言えば執念で勝ったと言うことか。それでも苦し紛れの中でも左から振って残しながらすくう余裕があったのだから、少しは成長したと言える。もし3敗となれば優勝争いの方は再度面白みがなくなるところであった。
 大関を目指していた照ノ富士が4敗となって場所後の昇進は完全になくなった。残念だろうが来場所、頑張ってもらいたい。残念と言えば、貴景勝が休場してしまった。私は彼だけはたとえ負け越しても最後まで取ると信じていたのでガッカリだ。負けても言い訳はせず「弱いから負ける」精神が好きだったが、負け越しが決まる前に勝負を投げ出したのには驚くと同時に、裏切られたような気がしてならない。
 貴景勝は昇進の口上で「武士道精神」で精進すると述べている。おそらく座右の銘である。「武士道とは死ぬことと見つけたり」。覚悟のほどが知れよう。私は負け越しても千秋楽まで取り切った貴景勝を褒めてやりたかったが、もうだまされません。何日目かの北勝富士戦で足首を痛めていたと発表しているが、こんなこと誰が信じようか。こんな言い訳は横綱、大関が休場のときの常とう手段である。
 かつて大関魁傑は「休場は敵前逃亡」であると決して休まなかった。大関旭国も土俵で死ねたら本望だと言っている。不肖北の富士も大関時代2度負け越しているが休場はサラサラ考えたことはなかった。最近の大関は簡単に休場するが、朝乃山も正代もすでに休場を経験している。そしてラストサムライの貴景勝まで休場とは情けないことだ。
 これからは軽々しく「武士道」を口にしない方がいい。あほらしくて今日はこれまでにします。
 ただただお客さんに申し訳ないことです。飯ですか? 有り合わせですまします。(元横綱)
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