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日経スペシャル「ガイアの夜明け」
2002年6月30日放送
◆ 第 12 回 ◆
●がんばれ!アフガンのお母さん
~復興支援の真実と密輸ビジネスの謎
物流で活気付くアフガンの「地下経済」に、今「国際支援」がなだれ込もうとしている。しかし、地下経済に依存する現在の活況は、燃えさしの薪が新鮮な空気に触れたようなものだ。復興への確かな支援が無いと、炎はしぼむに違いない。
戦後のアフガンの経済状況を、戦後日本の経済発展の例にオーバーラップさせ、その展望と将来性を検証し、沈滞した日本経済の再生の糸口を探るとともに、「アジアのリーダー」たるべき日本の、他のアジアの国々との付きあい方を模索する。
長期に渡る戦争と9・11テロ以降の報復攻撃で、荒廃したアフガニスタンで苦しむアフガン難民たちを救おうと、今年1月、各国が集いアフガン復興支援会議が開かれた。取り決められた支援金総額は、なんと45億ドル。日本はそのうちの5億ドルを支援する。
金の出どころは、言わずと知れた私たち国民一人一人の税金である。
一見、何の問題もない素晴らしい支援のように思えるが、実際はどうなのだろうか?
いまだに難民の数が絶えない現地にいて、そんな疑問を抱いている一人の日本人女性がいた。アフガニスタンの隣国・パキスタンに20年以上住んでいる「アフガン難民を支える会」(NGO)の現地責任者、督永忠子(とくながただこ)さん(57歳)だ。
督永さんは、難民たちが、支給されるものだけを頼りに毎日を送っている様子を黙って見ていられない。どんなに巨額の支援でも、支援は支援。永久に続くものではないからだ。
そんな督永さんのモットーは”生産性のない支援はしない!”こと。
番組では、パキスタンから帰還したアフガン難民や、アフガニスタンで細々と頑張る人々のために、じゅうたん工場や識字教室を開き、日夜その運営に奔走する彼女を密着取材する。
またその一方で、生きるために日々、体を張って生きている密輸品の運び屋の人々をフォーカスする。およそ40年前から、パキスタンを通ってアフガニスタンに輸入される品物は、関税が免除されている。しかし今やそれがお互いの国境を通じて、支援物資の横流しや密輸品の往来など、流通の活性化に一役買っているというのだ。
密輸は違法。しかし、仕事のない難民たちの”生きていくための”行為は、決して責められるものではない…そんなことを感じさせてくれる人々がいた。
車椅子の父親を支える息子・サルグル、その親子の二人三脚ぶり。警備の網の目を潜り抜け、密輸品を運ぶ弱冠8歳の少年・ワタングールは、この仕事で自分の学費と一家の生活を支えている。危険を冒して1日100ルピー(200円)。その行為を誰が責められよう?
生きるための原動力、それは平和であってこそ生まれるもの。
番組では、アフガニスタンの悲惨な記憶が忘れ去られようとしている今、現地に生きる人々の息づかいに触れ、私たち一人一人の税金で成り立っている、日本の復興支援の本当のあるべき姿を問い、アフガン復興に日本経済再生のヒントを探る。
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