おせち

2014年12月16日(火)

「おせち」は漢字では「御節」と書きます。昔から、元日のほか、3月3日、5月5日など、季節の節目の日に行事をしました。これを「節日(せちにち)」と言います。節日には神様に供え物をしますが、これを「節供(せちく)」と言います。「おせち」は、はじめこの「節日」や「節供」のことだったのですが、次第に正月の供え物や料理に限って使うようになりました。やはり、元日は特別で、年神様にいろいろな供え物をして、そのおすそ分けをいただきます。つまり神様と一緒に頂くのが、本来のおせちなのですね。では、おせちの中身はどうだったのか。江戸時代のはじめには、正月の飾りものを兼ねた「食積(くいつみ)/蓬莱(ほうらい)とも」というものが作られました。これは、三方に米を盛り、その上に餅、のしあわび、昆布、かち栗、干し柿などを積んだものです。飾るだけでなく、年始の客と一緒につまんで食べていたそうです。それが幕末には、飾る物と食べる物を分けるようになり、「黒豆、数の子、田作り」などを重箱に詰めて用意するようになりました。地域によってはたたきごぼうなどを入れますが、今でもこれらを特に、三つ肴(ざかな)とか祝い肴と呼ぶことがあります。また、供え物とは別に、正月の料理としては主に、にんじんやごぼうなど野菜の煮物を作りました。次第に、この煮物も、祝い肴と一緒に重箱に詰めるようになり、これが現在のおせち料理の形になりました。ちなみに、正月は箸も、普段使っているものではなく、新しい白木の箸を用意しますね。これを「祝い箸」と言いますが、もとは神様のお供えに使うものでした。両側が削られているものは、片方を神様、もう一方を人が使うためといわれています。正月は神様と一緒にいただくもの、という習慣が残っているのですね。

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