みかんの花

あらすじ

白綱島市は全国で唯一残る一島一市だったが、対岸の市に吸収合併されることに。島で暮らす主婦の富田美里(広末涼子)は市の閉幕式の会場で、演壇に上がった人物を食い入るように見つめていた。その人物は、小説家の桂木笙子(水野美紀)。20年前、島を捨て東京へ行ったきり一度も帰ってこなかった憎き姉だ。作家として成功した笙子は都会的な服装に身を包み、望郷の思いを込めた文章をセンチメンタルに読み上げていた。式が終わり会場を出たところで、美里は笙子の同級生だった宮下邦和(水橋研二)に呼び止められた。そこに笙子も現れ、美里は嫌悪感をあらわにする。だが笙子はまったく悪びれない。ともに邦和の車に乗せてもらい、母と美里の夫、娘の待つ家に向かった。

美里は想いを馳せる――。20年前のあの夏、父を事故で亡くし家族三人で必死に生きてきた富田家に、都会から来た若い男・奥寺健一(田中圭)が爽やかな風を運んできた。そして、美里は健一とある約束を交わした。しかしその約束は守られず、姉の笙子を憎むことになる。島を出た姉。島に残った妹。20年の月日が経ち、母の安江(倍賞美津子)は認知症を患った。美里はある疑念を抱く。そして笙子は驚くべき事実を語り始めた…。

登場人物

  • 広末涼子
  • 主演 富田美里
    広末涼子 白綱島在住。現在は結婚し、老いた母の世話で島に縛り付けられている。
    20年前、自分を置いて出て行った姉に恨みを抱き続けている。
    コメント 撮影中は、梅雨時期の不安定な天候に悩まされましたが、最終的には因島の燦々太陽と、強い日差しの洗礼も受け、いろんな色の海を見せてもらいました。
    その風景と、湊かなえさんの作品らしい世界観を美里という役を演じて感じることができ、とても楽しませて頂きました。
    特に、20年間にわたる姉の想いを知った美里が初めて姉と向き合うラストシーンは強く残っています。
    因島の美しい海と強い太陽、登場人物たちの抱えている気持ち…。
    オムニバス作品だとは思えない重厚な物語を感じていただけるのではないかと思います。
  • 水野美紀
  • 富田笙子
    水野美紀 美里の姉。現在は人気小説家。
    20年前に島を出たきり、一度も戻って来なかったが、白綱島の市の閉幕式に来賓として島に戻ってきた。
    コメント 「みかんの花」は、島で暮らすごく普通の家族の、過去に封印したある事件の記憶を紐解くミステリーです。
    「大切なものを守るために」囚われ、足を踏み外す人間の機微を、因島の美しい景色が包み込んでいます。ぜひ、お楽しみください。
  • 田中圭
  • 奥寺健一
    田中圭 20年前、バッグパッカーとして村にやってきた青年。
    ミカン狩りを手伝った後、富田家に居着くようになり、美里の初恋の対象となる。
  • 水橋研二
  • 宮下邦和
    水橋研二 笙子の同級生。
    20年前、笙子と付き合っていた。
  • 山口まゆ
  • 富田美里(回想)
    山口まゆ 15歳の美里。
    健一に好感を持つ。
  • 中村靖日
  • 宮田達也
    中村靖日 美里の夫。
  • 田辺桃子
  • 富田美香子
    田辺桃子 美里と達也の娘。
    東京に憧れを持っている。
  • 倍賞美津子
  • 富田安江
    倍賞美津子 美里と笙子の母。
    美里がまだ幼い時に不慮の交通事故で夫を失った。
    以来、夫の残したみかん畑を栽培しながら娘たちを育ててきた。
    現在は認知症を発症している。

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