再生エネ推進へ耕作放棄地集約 法案閣議決定、転用手続き簡素化

2012.2.18 05:00

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 政府は17日、耕作放棄地での再生可能エネルギー導入を推進する「農山漁村における再生可能エネルギー発電促進法案」を閣議決定した。所有権移転や農地から転用する手続きを容易にして遊休地の集約を図り、太陽光や風力発電の設備を導入できるようにする。通常国会に提出し、会期中の成立を目指す。

 法案では、市町村が地域の特色を踏まえて作成した基本計画に沿って、業者の取り組みを認定。土地所有者が同意すれば、民法の特例として所有権を一括移転できるようにする。耕作放棄地と農地が交換されることで「農地の集積も期待できる」(農林水産省)という。この枠組みの中で、農地からの転用手続きも簡素化する。

 想定している再生可能エネルギーは、太陽光や風力のほかに水力、地熱、バイオマス発電など。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて導入機運が高まっていることや、7月には電力の固定価格買い取り制度が始まることもあり、政府は耕作放棄地を活用してメガソーラー(大規模太陽光発電所)などの拡充につなげたい考えだ。

 大規模水力発電を除く再生可能エネルギーによる発電量は、日本の総発電量の1.2%にすぎないが、政府はこれを3年後に3%程度に引き上げることを目指している。

 また、売電による収入を拡大することで、農村や漁村の活性化につなげる狙いもある。鹿野道彦農水相は17日の閣議後会見で「農山漁村の未利用の資源を活用し、地域分散型のエネルギーシステムを定着させていくことが重要だ」と強調した。

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