労組の選挙支援の闇解明を
〈社説〉
またもや民主党で「政治とカネ」の問題が明るみにでた。札幌地検は同党の小林千代美衆院議員(北海道5区)の陣営に不正な選挙資金を提供した疑いで、1日に北海道教職員組合の幹部ら4人を逮捕した。
民主党は鳩山由紀夫首相や小沢一郎幹事長を巡る疑惑に続いて新たな火ダネを抱えた格好だ。今回の事件の背景には労働組合への過度の依存があり、小林氏の陣営では別の労組関係者が公職選挙法違反の罪で有罪判決を受けた。再発防止に向けた党としての対応も問われている。
逮捕されたのは北教組の委員長代理、長田秀樹容疑者や小林氏陣営の経理担当だった自治労北海道財政局長、木村美智留容疑者ら4人だ。長田容疑者らは2008年12月から昨年7月にかけて4回にわたり、計1600万円を受け渡した疑いがもたれている。
政治資金規正法は企業や団体による献金を政党と政治資金団体にしか認めていない。そもそも公立校の教員は、政治的中立性を保つため教育公務員特例法などで選挙運動への直接の関与が禁止されている。
資金が渡った時期は前回の衆院選が想定よりずれ込み、各陣営が事務所経費などで苦労していた時期と重なる。多額の資金援助は「労組丸抱え」の選挙をうかがわせる。原資の解明も重要だ。道教組は組合員から徴収した資金の一部を裏金として献金に使った疑いがもたれている。
教組がかかわった事件は今回が初めてではない。04年の参院選では山梨県教組の幹部らが日教組出身の輿石東・民主党参院議員会長の支援のために集めた寄付金を収支報告書に記載せず罰金の略式命令を受けた。
小林氏の選挙をめぐっては、選対委員長代行だった連合北海道札幌地区連合会の前会長、山本広和被告が2月に札幌地裁で公選法違反の罪で有罪判決を受けて控訴中だ。検察側は有罪が確定した場合は議員本人への連座制の適用対象としている。
労組はかねて経理の不透明さが指摘されており、組織の近代化を急ぐ必要がある。民主党も労組との関係を全国規模で調査し、問題があれば是正する努力を怠るべきではない。数を頼みに様々な疑惑にフタをするような対応は許されない。