日本調理科学会誌
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料理における食酢の減塩効果の検討
小笠原 靖吉田 達郎岡田 千穂坂本 真里子赤野 裕文畑江 敬子
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2009 年 42 巻 4 号 p. 238-243

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抄録

料理への食酢の添加が塩味の強さに与える影響を官能評価により調査し,料理における食酢の減塩効果について検討した。本研究の被験者グループは,食塩濃度が1.0%と0.8%と0.6%の鶏がらだし液,0.8%と0.7%,および,0.8%と0.6%のミックス野菜スープ,0.8%と0.7%の豆腐の食塩濃度差を有意に識別できた。鶏がらだし液,ミックス野菜スープに酸度0.135%相当の食酢を加えた場合,0.2%の食塩濃度差は有意に識別されなくなった。この効果は強い酸味で塩味の強さが識別され難くなる減塩効果と考えられた。また,同濃度の食酢とカプサイシン0.07ppm相当の唐辛子抽出物を加えた鶏がらだし液では0.4%の食塩濃度差が有意に識別されなかったことから,辛味は酸味と相加的な減塩効果を有することが示唆された。食塩濃度0.8%と0.7%のミックス野菜スープ,豆腐で,食塩濃度0.7%の料理に酸度0.01~0.04%相当の食酢を添加した場合,0.1%の食塩濃度差が有意に識別されなくなる場合があった。この効果は少量の酸味で塩味が増強される減塩効果と考えられた。これら2種類の減塩効果を料理の種類に応じて使い分けることで効果的に減塩できるものと考えられた。

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© 2009 一般社団法人日本調理科学会
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