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５ｔｈシングル『金魚花火』リリース　大塚愛　スペシャル・インタビュー（ワイズ・スポーツ）

今回は、女の子ではなく、女性らしさを出したかった。
懍とした女性の心の言い回しで、より恋がきれいにみえるから

インタビューはちょうど、昨年12月からロングヒットを続けている2nd シングル『さくらんぼ』の着うた（R）が100万アクセスを記録したとのニュースが流れた日。また、7月7日に発
売された4th シングル『Happy Days』も破竹の勢い、まさにこの夏真っ盛り中の大塚愛に、2ヶ月連続リリースとなるニューシングル『金魚花火』について直撃インタビュー。蹴りツっこみが冴える（？）アッパーチューンの前作から一転、今回は夏の夜にぴったりのしっとり系ミディアムバラード。自分でも「大好き！」という夏の季節、心象風景ゆたかな歌に秘められた思いを、語ってもらいましょう。

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■ ■はじまりは「金魚花火」■■

Ｑ：そもそも楽曲を作ったのはいつ？

ちょうど１年ほど前、デビューの前後ですね。

Ｑ：金魚花火、というのは造語……ですよね？

いいえ、お店で売ってるファミリーセットの花火の中に入ってます。手持ちの、ダンボールを金魚型に切り抜いてる花火。

Ｑ：あ、本当にあるんですか……知りませんでした。

私がやったことがあるのは、線香花火みたいなのと、ひたすら落ちるやつのダブルです。

Ｑ：じゃ、それをイメージしながら？

そうですね。最初にタイトルが浮かんで、そこから曲を作っていきました。

Ｑ：曲を書くとき、どんな気持ちがふくらんだのですか？

まず、頭にあったのがサビの部分の歌詞でした。どんなに自分の恋をあきらめようと思っていても、好きな人のふとした一瞬の仕草だったり、表情だったり……やっぱり好きだって心に戻されちゃう。そういう切ない気持ちというか、何とも言えないどうしようもない気持ちを、切ないって言葉を使わずに感じ取れる歌がいいなと思って。

■■懍とした女性と元気な女の子、どっちも自分■■

Ｑ：懐かしい感じと、いまの女性の感情がともに息づくようです。情熱的でありながら何か心に秘めている、そんな印象が強いですね。

そうですね。今回は女性らしさを出したくて……女の子ではなく、女性。凛として落ち着いた女性らしい雰囲気でいきたいなって。私自身、凛（りん）とした女性が好きなんですよ。きれいで古風な感じで、浴衣が似合いそうな女性。それが今回テーマにした、和的な花火に似合うかなって。で、そういう女性の心の言い回しを使うことで、より恋がきれいにみえる……というのもヘンですが、美しく凛とした曲でありたいな、と。

Ｑ：それは、自分自身の憧れでもある？

憧れ……というか、そういう女性が抱くような純真な気持ちと、逆にきれいでない欲望の固まりみたいな部分は、実は女の子だったらどちらも感じてるものだと思っていて。だから私にも『Happy Days』みたいな元気さがあり、夜になれば切ない感じもあって。曲風もそうだけど、今回はキャピキャピするよりは、しっとり座ってる感じの女性を主人公にしたかったんです。

Ｑ：どちらも自分のほんとに近い？

はい。

Ｑ：いろんな愛さんの面が透けて見えて、それはリスナーにとっても面白いですね。

ハハハ。でも、そんなに百面相じゃないですよ。いつも通り、出したい曲を出して、コツコツとマイペースで進んだ結果が、今回の「金魚花火」なんです。

■■いつでも「映画のワンシーン」■■

Ｑ：歌詞のなかで"ぽたぽたおちる"や"あなたの優顔"など、独特の雰囲気ある言葉が出てきますよね。何か表現を広げるために努力していることってありますか？

すべての出来事を、映画のワンシーンのように感じることですね。毎日毎日同じことをしていても、少しだけ見方を変えてみるんです。たとえば、カップルでも顔を合わせるのが日常になると、ちょっと優しいところがあっても素敵と思えることが少なくなるじゃないですか。でも、そういうところを当たり前だからと片付けたりしないで、ちゃんと見ることが大切かなって。一番最初につきあったころ、ふたりでなにかをしたとき、ちょっとでもうれしかったこととか、そういうものがいつもいつもありますよ……って姿勢で物事をみることを心がけているんです。

Ｑ：そうすることで、忘れかけていた大事な気持ちがキャッチしやすくなる、と。

そうですね。ただのコップでも、そこに映る景色だったり、水の泡の感じとか、そういうディテールを映画だったらすごく細かく表現するじゃないですか。そういうふうな見方を身につけることが大事で。だから曲作りのときは、いつも頭の中の映像に曲をつけるみたいな感じで……つねに自分の人生が映画のワンシーンですね。

Ｑ：かっこいい！

ハハハ。

■■ひとりで、じっくり聴いてほしい■■

Ｑ：ジャケット写真も、今回はこれまでの雰囲気とずいぶん変わりましたね。

はい。でも、楽曲に一番合った感じかなって。今回のテーマカラーが黒で、ちょっとダークな感じですね。夜の感じというか、深いという意味で。あと、特典の絵本もプロモーションビデオも相当力を入れ込んでるんで、曲と一緒に楽しんでもらいたいです。

Ｑ：プロモーションビデオはどんな感じ？

口が半開きになります（笑）。私自身、見終わったときに、息するのを忘れてて。心臓がグッとくるような、そういう内容になってます。

Ｑ：そんな新曲、どういうシチュエーションで聴いてもらいたい？

やっぱり多くの女性に、ひとりでじっくりと聴いてもらいたいですね。たとえば寝苦しい夜にベランダを開けて、クーラーに頼らず夜風を取り入れながら、とか。ちょっと心に余裕を持たせて、女性である最大限のラッキーなことをいかせるように、そういうふうに思えるような曲だと思うので。自分の魅力なんかもちょっと感じつつ、夜の大人の女……でもないけど（笑）少しお酒でも飲みながら。あと、風鈴の音とかも聞こえてきたりしたら最高ですね。

Ｑ：一方、カップリングの『ココ夏バケーション』は、打って変わってアッパーなサマーソングですよね。

リゾート向きで、みんなでワイワイ浜辺とかで、遊んで騒ぎながら聴いてもらえるようになってます。今回はこうした夏の2曲ですが、和と洋、ひとりと大勢って感じで。どちらもイケるかなと思いますので、楽しんでください。

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今夏は＜a-nation 2004＞で、全国各地の野外ライブに出演。また秋には、初のワンマンでの学園祭ツアーが予定されている。かなり忙しいのでは……と訊くと、いわく「んなことは、ない」と涼しげな笑顔を浮かべる。デビューからまもなく1年。「いままでの人生のなかで一番、自分の人生を自分で歩いてるなと感じる１年だった」と、活動の充実さを振り返る。しかし、ギアトップはまだまだ先のこと。そんな彼女の未来が開けていくようなニューシングル、ぜひともご堪能あれ。

（インタビュー・文／増渕俊之）

[ワイズ・スポーツ 2004年8月18日]

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