世界株安、クレディ・スイス危機が国境越えて飛び火－銀行不安が再燃

きっかけは筆頭株主の厳しい発言だった。クレディ・スイスが売り浴びせられ、猛烈な勢いで世界市場に飛び火した。

　　クレディ・スイス・グループの筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンク。アンマル・フダリ会長はクレディ・スイスに対する追加出資の可能性を問われ、「断じてない」と言明した。

クレディＳ筆頭株主、追加支援の可能性否定－株価30％安で新安値 (2)

　　クレディ・スイス株は一時31％急落し、１日の下げとしては上場来最大を記録。社債も売りを浴び、財務面での深刻なディストレスを示唆する水準に下げた。

　　米地銀３行が立て続けに破綻し、いまだに落ち着きを取り戻していない世界の投資家にとって、クレディ・スイスの危機深刻化はリスク資産を売って、安全とされる国債に資金を逃避させる口実を与えている。ストックス欧州600指数は一時３％余り下落し、Ｓ＆Ｐ500種株価指数の下げは２％を超えた。短期のドイツ国債と米国債は急伸し、利回りはいずれも一時40ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）余り下げた。

　　ラザード・フレール・ジェスチョンの金融債戦略責任者、フランソワ・ラビエ氏は「米国の銀行が次々と姿を消すのを目の当たりにし、ネガティブなニュースに市場は非常に敏感になっている」と指摘。「すでにセンチメントが弱くなっている状況では、さほど大きな材料でなくても事態はさらに深刻になる」と述べた。

　　ソシエテ・ジェネラルとＢＮＰパリバ、サバデル銀行はいずれも10％余り株価が下落し、ストックス600指数の値下がり上位。欧州銀行の時価総額は合計で600億ドル（約８兆円）以上が吹き飛んだ。

　　米国株の下げは比較的小さいが、それでも地銀を中心に銀行株は売られている。シティグループとゴールドマン・サックス・グループはいずれも、一時５％を超える値下がり。ＫＢＷ銀行株指数は2020年以来の低水準。

　　バントレオンのポートフォリオマネジャー、オリバー・シャーピング氏は「パニックが起き、トレーダーは急いで安全性に逃げ込もうとしている」と指摘。「市場はクレディ・スイスが倒れるのは時間の問題とみているが、財務は依然健全そうだ」と述べた。

　　クレディ・スイスのウルリッヒ・ケルナー最高経営責任者（ＣＥＯ）は14日に、流動性カバレッジ比率を挙げて、ストレス下でも多額の資金流出に１カ月以上持ちこたえることができると示唆していた。13日には市場全体の混乱にもかかわらず資金が流入し、事業再生計画は前倒しで進行していると主張。クレディ・スイスの広報担当者はブルームバーグ・ニュースに対し、コメントを控えた。

原題：Credit Suisse Ignites Global Market Rout as Banking Fears Return（抜粋）