神奈川県道路公社は、三浦縦貫道路において、首都高速道路株式会社、アマノ株式会社、株式会社日立製作所、首都高ETCメンテナンス株式会社、トヨタファイナンス株式会社、三井トラスト クラブ株式会社、三菱UFJニコス株式会社、ユーシーカード株式会社と共同して、ETC カードによる新しいカード決済サービスである「ワンストップ型ETC」※1導入に向けた社会実験を実施し、この度その結果をまとめました。
「ワンストップ型ETC」は、ネットワーク型ETC技術※2を活用し、ETCカードによる料金の支払いを可能とするものであり、キャッシュレス社会の実現に寄与するために神奈川県道路公社が導入を進めているサービスです。
※1 「ワンストップ型ETC」とは、ETCカードによる新たな決済サービスで、ご利用の際は料金所で一旦停止が必要です。
※2 「ネットワーク型ETC技術」とは、遠隔地に設置したセキュリティ機能を有する情報処理機器と、駐車場等における複数の路側機を通信ネットワークで接続し、路側機で取得した情報を集約させて一括処理することで、ETCカードを用いた決済の安全性を確保する技術です。
実施期間 | 令和5年3月15日(水)から8月31日(水)まで ※当初7月14日まで実施の予定でしたが、新たな課題が発生したので、解決のため実施期間を延長しました |
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参加者募集 | 令和5年2月15日(水)から8月7日(月)まで |
実施場所 |
三浦縦貫道路(三浦サンサンライン) |
概要 | ETC多目的利用システムを活用した料金収受の長期間稼働検証 |
実験内容 | 「ワンストップ型ETC」の安全且つ円滑な料金所通過検証 1 全車が所定の位置で確実に一旦停止するための新たな安全対策の構築 (①路面標示、②案内看板等、③発進制御機) 2 一般車とモニター車(事前登録)が混在する4レーン同時運用(上下2レーンずつ通行)による安定的な「ワンストップ 型ETC」サービスの提供 (電光掲示板) 【延長期間から実施】 →(①サイネージ案内の追加、②レーン案内看板の設置、 ③電波干渉対策) |
登録要件 | 実験対象カードのETCカード番号を登録可能な方 |
会社名 |
役割分担 |
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神奈川県道路公社 |
社会実験実施主体(事務局) |
首都高速道路株式会社 | ETC情報セキュリティ管理 |
アマノ株式会社 | ETC多目的利用システムにかかる機器開発・販売及び運用・管理サービスの提供(ETCカードによる決済サービスの提供含む。) |
株式会社日立製作所 | ネットワーク型ETC技術システム構築支援 |
首都高ETCメンテナンス株式会社 | ETCに関する技術協力及び機器設置 |
トヨタファイナンス株式会社 三井住友トラストクラブ株式会社 三菱UFJニコス株式会社 ユーシーカード株式会社 |
ETCカードによる決済の実施 |
実験計画 | |
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実施状況 | |
(1)実験登録者:1,134名
(2)通行実績(3月15日~8月31日:170日間)
(3)利用率:決済数/総通行台数=25,897/1,115,448≒2.3%
レーン | 通行回数 | 1日平均通行回数 |
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レーン1、2 (国道134号方面行) |
11,942 | 70.25 |
レーン5、6 (横浜横須賀道路方面行) |
13,955 | 82.09 |
計 | 25,897 | 152.34 |
(1)全車が所定の位置で確実に一旦停止するための新たな安全対策の構築
①路面標示:一旦停止(STOP、とまれ)、狭さくの路面標示の設置
②案内看板等:全通行車両に一旦停止を促す看板及び横断幕の設置
③発進制御機:所定の位置に確実に停車させるために、ゲートバーの設置
実験計画 | |
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実施状況 | |
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(2)一般車とモニター車(事前登録)が混在する4レーン同時運用による安定的な 「ワンストップ型 ETC」サービスの提供を検証
電光掲示板:料金所レーン案内としてLED表示板の設置
実験計画 | |
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実施状況 | |
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①サイネージ:ETC決済が出来ない車両に対して、サイネージ案内を表示した
サイネージ案内を追加し、現金等による支払いを促した結果、停車する時間の長い車両は約70%減少した。(10秒以上停車した車両を計数した結果)
②案内板:通行車両が特定レーンに集中するケースが発生したため、レーン案内看板を設置
レーン案内看板を設置したことにより、滞留する車両が分散し、料金所通過がスムーズになった。
③電波干渉
社会実験開始直後、一部車両に対しての車載器情報の読み取りエラーや隣接レーンの別車両の情報を誤って読み取ってしまうなどの事象が発生した。
これらについては、実験期間中に電波出力強度や射出角度の調整を行った結果、解消した。
※なお、一部車両について調整後も読み取れないことがあったが、それは車載器の取り付け位置等による読み取りエラーであったため(車両側の問題)、そのような車両に対しては現金等で料金を徴収した。
1 路面標示、案内看板設置等の安全対策を構築した結果、社会実験に起因する事故は発生しなかった。
2 一般車とモニター車(事前登録)が混在する4レーン同時運用でのトラブルの発生原因を解決し、安定的な「ワンストップ型ETC」サービスの提供を確保することができた。
3 サイネージ案内を追加しETCによる決済ができないことを一般車両に通知したことにより、料金収受がスムーズになった。
本社会実験により、目的としていた「ワンストップ型ETC」の4レーン同時運用における、安全且つ円滑な料金所通過についての課題は実験期間中に解決することが出来ました。
今後は本格導入に向けて更に安全対策の充実を図り、カード会社の参画状況を踏まえ、来年度には三浦縦貫道路において、本格的な導入を目指しております。
また、順次、逗葉新道、真鶴道路への展開も目指してまいります。