使用済燃料を再処理しリサイクル利用することは、エネルギー安定供給に優れているなどという原子力発電の特性を一層向上させることになり、原子燃料サイクルを推進することは国の基本的方針となっています。原子燃料サイクルの意義については次のとおりです。
○エネルギーの安定供給
原子力発電の燃料となるウランは、全量を海外からの輸入に頼っていますが、供給国であるカナダ、オーストラリアなどは、日本の原油輸入の約9割(2004年度)を占める中東地域に比べると政情の安定した国であり、また、供給国の多様化、長期購入契約の締結などにより、安定した供給が期待できます。
また、ウランは石油に比べ少ない量で発電できるため、石油に比べ備蓄性があるといえます(表1)。我が国の石油備蓄量は、2005年6月末現在で9,032万キロリットル(製品換算)、171日分に相当します。一方、原子力発電ではウラン燃料を原子炉に装荷すると約1年間は燃料を取り替えずに発電でき、これに発電までの工程にあるウランを踏まえると、ウランの備蓄量は少なくとも2年分程度と見積ることができます。
さらに、使用済燃料を再処理して回収するウラン、プルトニウムを利用することにより、ウラン燃料の需要に左右されにくくなり、原子力発電が長期にわたってエネルギー供給を行うことが可能になります。
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