TPP交渉、英に再提案要求 関税撤廃率90%止まり―日豪など
2022年09月27日07時17分
英国の環太平洋連携協定(TPP)加入交渉をめぐり、日本やオーストラリアなどの参加国が英国に対し、市場開放に関する提案内容を再考するよう求めていることが26日、分かった。TPPは農産品や工業品の関税撤廃率をほぼ100%に引き上げることを目指しているが、英国は農業分野を中心に市場開放に慎重で、全体で90%程度にとどめているとされる。
英国は近く関税分野の条件を再提示する見込み。ただ、審査に一定の時間がかかることから、英国が目指す年内の加入合意は難しそうだ。
慎重姿勢の背景には、市場開放で打撃を受ける国内農家を保護したい思惑がある。英国は、TPPに参加するメキシコやカナダと、個別に自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉も進めており、畜産が盛んな両国から安価な豚肉などの流入を懸念しているとみられる。
TPPへの新規加入には、TPPの条件をすべて受け入れた上で、参加国による全会一致の承認が必要。日本政府関係者は「現状のままでは英国の加入は難しい」と指摘。別の交渉関係者は、昨年加入申請した中国などとの協議も念頭に、「英国にもルールを緩めず厳しく対応する」と強調している。